研究課題
基盤研究(C)
3年間の研究期間を通じて、主に3つの成果を得た。第一に、学習院大学図書館に所蔵されている筧文庫について調査し、筧克彦本人の自筆書き込みや線引き等を発見した。第二に、筧克彦を近代神道史上に位置付けていくうえで不可欠な、「国家神道」概念をとらえなおすために、宗教学者・村上重良氏の「国家神道」論を1960年代の時代背景から再検討した。第三に、近代における神道的観念の表象という問題意識から、「誓之御柱」建設の実態や楠木正成に関する表象について解明した。
近代日本思想史
筧克彦という神道思想家の思想・営為を近代の思想史のなかにきちんと位置付けるために、実証面・理論面ともに必要な作業を行ったところに、本研究の学術的意義がある。筧文庫に筧の本音をうかがうことのできる史料を発掘したことで、より筧の思想の実態に近づくことができる。また「国家神道」概念を捉えなおすことで、当該概念のバイアスから離れて、筧の思想・営為を「下から」の視点から検討することができるようになった。