新たな写本にもとづく『葉隠』全文の翻刻、およびこれに対する注釈と現代語訳の作成、という本研究の成果は、これまで武士道における古典とされながら、その基礎的研究環境が必ずしも十分に整えられないままであったという、『葉隠』に対する研究状況の停滞を打破したものであり、学術的に大きな意義を有している。また、本研究の成果が文庫として刊行されたことは、学術的なニーズにとどまらず、武士道という思想文化に対する社会的な関心の高さを、証明するものである。今後、人びとが『葉隠』および武士道についての知識や教養を求めるにあたっても、本研究の成果が担う役割は大きいと言える。
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