研究課題/領域番号 |
17K02265
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
曽田 長人 東洋大学, 経済学部, 教授 (50568053)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人文主義 / 古典研究 / 思想史 / 戦争協力 / ナチズム / 古典文献学 |
研究実績の概要 |
研究の三年目に当たる2019年度は、今までの調査で遺漏のある文献を収集するため夏季休暇を利用してドイツの(大学)図書館・資料館(マールブルク大学図書館、ライプツィヒのドイツ国立図書館、ミュンヘンのバイエルン国立図書館、バイエルン・アカデミー資料館)を訪問した。そしてクルト・フォン・フリッツ、リヒャルト・ハルダー、ヴェルナー・イェーガーといった当該の人文主義者に関する(一次、二次)資料を収集(閲覧・複写・撮影)した。 作業の重点は、今までに収集した文献の読解、それに基づく論文の執筆に充てた。科研費の課題と関連した、以下の2本の論文を発表できた。1.「人文主義者のナチズムに対する傍観-ヴェルナー・イェーガーの場合-」(東洋大学経済研究会『経済論集』第45巻2号所収)、2.「人文主義者のナチズムに対する抵抗-クルト・フォン・フリッツの場合-」(東洋大学人間科学総合研究所『東洋大学人間科学総合研究所紀要』第22号) 以上の2本の論文の執筆を通じて、20世紀前半のドイツの人文主義の布置(「第三の人文主義」に属する人文主義者とその圏外の人文主義者の対立)、彼らのナチズムに対する関わり方の位相が徐々に見えてきた。その成果を、以前に発表した「人文主義者のナチズムに対する協調-リヒャルト・ハルダーの場合-」、「ドイツ第三帝国におけるスパルタの受容(1)」「ドイツ第三帝国におけるスパルタの受容(2)」という論文と関連付けることによって、人文主義者とナチズムとの関わりを立体的に捉えてゆきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来は2019年度中に成果をまとめるはずであったが、以下の二つの理由で研究の進捗がやや遅れている。第一に、資料の整理、読解と関わる。本年度中、2本の論文を発表できたが、3人の人文主義者のナチズムとの関わりを相互に関係付けて論じるためには、多数の文献を読まざるを得ず、時間が不足した。第二の理由は、家庭上、健康上の理由によるものである。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題と関連して今までに発表した5本の論文をまとめ、学会発表を行い、それを基に著書としてまとめて刊行することを考えている。研究対象として挙げた6名の人文主義者から、すでに3名に関する論文を発表したが、残りのK.ツィークラー、H.べルヴェについても余裕があれば、論文を執筆したい(W.シャーデヴァルトについては資料面の制約で、論文の執筆を行わない)。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究年限を1年間、延長したため。研究のための図書資料等の購入、研究成果の発表などのために2020年度使用額を用いたい。
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