研究課題/領域番号 |
17K02265
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
曽田 長人 東洋大学, 経済学部, 教授 (50568053)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人文主義 / 古典研究 / 思想史 / 戦争協力 / ナチズム / 古典文献学 |
研究実績の概要 |
研究の四年目に当たる2020年度は、全体のまとめを行う予定であった。しかし新型コロナウイルスの蔓延のため、研究のまとめに必要な図書館の図書の利用が大幅に制限された。特に他大学図書館の図書の相互貸借、文献複写が一時期、利用できなかったのが痛かった。よって研究のまとめを、来年度に延期せざるを得なかった。 しかしこうした制約の下で、一定の成果を挙げることができた。今までに国内外の図書館、文書館で収集した資料、文献を基に、ナチズムへの抵抗を行った人文主義者として、コンラート・ツィークラーを取り上げ、論文という形でまとめることができた(「人文主義者のナチズムに対する抵抗(2)-コンラート・ツィークラーの場合」[東洋大学経済研究会『経済論集』第46巻第2号所収)。 この論文の執筆と並行して、今までの研究成果の関連付けを行った。すなわち、ナチズムへの傍観、協調、抵抗を示したイェーガー、ハルダー、フリッツという人文主義者の間に、研究上どのような類似と相違があったのか、考察した。その結果「第三の人文主義」の圏内にいた前二者、その圏外にいた後者との相違の重要性が次第に見えてきた。すなわち前二者は古代ギリシアという規範の立ち上げ、後者は歴史学的-批判的な研究を重視したのである。 さらにこの三人の人文主義者の研究上の立場、ドイツ第三帝国下の言行と、ドイツ第三帝国の古代受容を代表するスパルタ崇拝との関連を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の四年目に当たる2020年度は、全体のまとめを行う予定であった。しかし新型コロナウイルスの蔓延のため、研究のまとめに必要な図書館の図書の利用が大幅に制限された。他大学の図書館の本の相互貸借、文献複写もそうである。
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今後の研究の推進方策 |
今までに国内外の図書館、資料館で収集した文献、資料を基に、人文主義とナチズムとの協調を代表する人文主義者として、ヘルムート・ベルヴェに関する論文を執筆する。さらに研究課題と関連して発表した7本の論文をまとめ、人文主義者とナチズムとの関わりの総括を行う。これについて学会発表を行い、著書としてまとめて刊行することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延によって研究を1年延長できることがわかった時点で、来年度分として所要額を一部、残すことに決めた。その額は、図書の購入などに充てる予定である。
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