研究課題/領域番号 |
17K02281
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
二村 淳子 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 講師 (20782452)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ファム・クイン / ペトリュス・キー / ベトナム絵画 / ベトナム美術 / 南山 / インドシナ美術学校 / Pham Quynh / Petrus Ky |
研究実績の概要 |
2019年の3月10日(日)、11日(月)に行われたCIHA(国際美術史学会、於:東京国立博物館)シンポジウムにて、「The Conception of Fine Art by Vietnamese Intellectuals」と題した口頭発表を行った。この発表内容は、本研究「ベトナムにおける〈美術〉受容に関する研究」の核となる内容であり、ベトナム知識人がどのようにBeaux-artsという概念を翻訳したのかをまとめたものであり、いままで触れられていなかったテーマである。具体的には、19世紀後半から1940年までに出版された辞書(越仏、仏越、中仏越、語彙集など)29冊をベースに、それに、知識人たちの言説を用いて、彼らが考える「美術」の内容を分析した。外国語で発表することができ、本研究を国内だけでなく、海外の研究者にも伝えることがで、発表における質疑応答や、シンポジウム開催中における意見交換ができた。このシンポジウムを通じ、「美術」という語の翻訳過程には、ベトナムだけでなく、東アジアに共通する問題を大いに孕んでいることが理解できた。 また、2019年3月25日に、東京大学大学院 総合文化研究科に、本研究テーマに密接に関連した「安南藝術からベトナム美術へ:フランス統治下の半世紀」と題した博士論文を提出することができた。フランス統治下ということもさながら、日本において、初めてのベトナム近代美術史執筆の試みになる。 そのほか、ベトナム美術に関する論文を執筆したが、こちらの出版は令和元年になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
国際学会(CIHA,国際美術史学会)で外国語で発表することができ、想像以上の反響を得ることができた。これによって、海外共同研究や論文執筆のオファーを受け、類似研究分野のネットワークを広げることができた。 また、計画より早めに博士論文を脱稿することができた。 最後に、2018年の12月に、日本経済新聞社の文化欄から短期連載の依頼を受け、申請者が研究しているベトナム人画家たち(ナム・ソン、レ・フォー、ヴ・カオ・ダン、マイ・トゥ、グエン・ファン・チャン)を紹介することができた。これにより、コレクターや海外の美術館から問い合わせをいただき、本研究のための人脈を広げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、平成31年度は、第22回ICLA(国際比較文学会)にて、これまでに行った本研究の成果を発表する予定である。そして、前年度にまとめた本研究の成果を書籍化できるように、図版の整理と管理(著作権の管理など)を行いたい。本研究最終年度として、これまでの成果の発信にも力を注ぎたい。
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