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2017 年度 実施状況報告書

近代日本における新興演劇の演出に関する研究―新派の音楽演出を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 17K02287
研究機関共立女子大学

研究代表者

土田 牧子  共立女子大学, 文芸学部, 専任講師 (30466958)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード劇音楽 / 音楽演出 / 日本演劇 / 近代 / 新派
研究実績の概要

本年度は近代の新興演劇の代表とも言える、新派(新派劇)の音楽演出に関する資料の収集・整理を中心に進めた。
①現在の新派の音楽(演出と演奏)を担当しておられる堅田喜三代師から新派関係の資料の借覧および寄贈を受け、その内、付帳(音楽演出を記した覚書)と台本について、学生アルバイトの協力によりデータ整理を行った。付帳については、喜三代師の祖父・中村兵蔵師が残した昭和20年代から30年代前半のものがほとんどを占め、花柳章太郎や初代水谷八重子を中心とする隆盛期の舞台の音楽演出が100冊を超える量で残されていることが改めて明らかになった(これらについては写真データとして保存する)。一方、台本は、松竹や国立劇場が関係者に配布するもの(国立劇場は一般販売も)で、喜三代師の父・堅田喜代蔵師が出演した、昭和40年代から平成初期のものを主とする。85冊と量はそれほど多くはないが、音楽演出の書き込みが多く残され、付帳に次ぐ貴重な資料と言える。今年度は資料整理に終始してしまったので、今後の研究に活かしていきたい。
②早稲田大学演劇博物館が所蔵する川上音二郎の台帳における音楽演出の調査に着手した。川上の演劇については、これまで一般には義太夫節や長唄などの旧来の音楽演出を用いなかったと言われるが、台帳のト書きには義太夫節や唄浄瑠璃(長唄)など、音楽演出の指定が散見され、作品によるものの音楽を多用した作品も多かったことが窺えた。このことについてはすでに指摘もあるところだが、台帳資料を用いることで、川上演劇における音楽演出の用法や効果などについてより具体的に明らかにできるものと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度の大きな目的であった、資料の収集・整理については、アルバイトの協力が大きく、何とか進めることができた。川上の台帳の紙焼き資料を入手できたことも収穫であった。しかし、新派については具体的な作品を対象とした音楽演出の分析ができなかったこと、川上演劇についても研究成果を口頭発表や論文の形でまとめられなかったことが大きな反省点である。以上のことから、進捗状況は「やや遅れている」としたい。

今後の研究の推進方策

今年度はまず堅田家所蔵付帳の写真撮影(外注)を終了させ、研究資料としての利便性を高める。その上で雑誌や新聞の劇評と照らし合わせながら、尾崎紅葉『金色夜叉』、徳富蘆花『不如帰』、泉鏡花『婦系図』など新派古典作品における音楽演出の分析を進める。
また、それと並行して川上演劇における音楽演出研究について論文にまとめる。当初の予定では、日清戦争ものに限って行う予定であったが、作品によって音楽演出の使用量にばらつきがあること、また、日清戦争もの以外でも興味深い使用方法が多く見られることから、日清戦争ものに限らず分析の対象としたい。

次年度使用額が生じた理由

資料のデジタル撮影を当該年度に行う予定であったが、申請者および外注業者の都合により、次年度に行うこととなり、そのための予算が大幅に繰り越されることになった。次年度の早い段階で撮影を行い、研究に遅れの生じないようにする予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 昭和初期東京の小芝居における演出―杵屋花叟旧蔵付帳を資料として―2017

    • 著者名/発表者名
      土田牧子
    • 学会等名
      歌舞伎学会

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公開日: 2018-12-17  

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