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2018 年度 実施状況報告書

近代日本における新興演劇の演出に関する研究―新派の音楽演出を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 17K02287
研究機関共立女子大学

研究代表者

土田 牧子  共立女子大学, 文芸学部, 准教授 (30466958)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード劇音楽 / 新派 / 歌舞伎音楽 / 日本近代演劇 / 三味線音楽
研究実績の概要

今年度は、堅田喜三代家に所蔵される新派関連資料を中心に資料調査を行った(アルバイトの協力を得た)。当該研究の主要資料となる付帳117点、台帳145点(新派87点・歌舞伎68点)については調査が終了し、譜本を含む書籍(計180点)についても概要が掴めている。現在はメモや冊子状のものに書き留められた手付け(譜)や歌詞など断片的な資料の整理・調査を進めている段階である。それらの中には、新派や歌舞伎の黒御簾で用いられる曲目の歌詞や手付(譜)、出囃子の手付を書き留めたものなどが含まれる。
音楽演出の分析に関しては、『金色夜叉』と『不如帰』における音楽演出の変遷について、新聞記事、雑誌記事を主な資料として調査、分析を進めている。たとえば、明治31年『金色夜叉』が川上音二郎一座によって初演されたときには、音楽演出は多分に歌舞伎的であり、馬士唄や稽古唄といった歌舞伎でも常用されるジャンルの唄、大太鼓による風や浪などの自然現象の音の使用が見られ、用法についても歌舞伎と類似していることがわかった。日清戦争劇前後の川上演劇の台帳に、義太夫節、小唄など多くの音楽演出が見られることとの共通性も指摘できよう。その一方で、「洋楽様立回りの合方」「誂えの浪音」のように新たに音を工夫する姿勢も見られた。また、鳥の鳴き声や風や浪などの自然現象の音が舞台の状況や人物の心情と密接に結びついているという、「新派的」とも言える音楽演出を垣間見ることもできた。明治42年の上演時にも、「下座の乱用」と歌舞伎の踏襲が批判される一方で、楽隊やヴァイオリンを使うなどの新しさが共存している。
このように年代順に追うことで、歌舞伎風の音楽演出からの脱却の過程が明らかになると考えている。個々の上演の分析結果の集積を総合的に検証することが今後の課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

資料調査については、アルバイトの協力もあり、計画通り進められている。
音楽演出の具体的な分析については、対象となる作品の資料収集、音楽分析という点ではある程度順調に進展しているといえる。ただ、研究成果を公表するには至っておらず、その点については迅速に進めたい。

今後の研究の推進方策

資料調査はこれまでどおり進める。
音楽演出の分析については、新派草創期および明治・大正の新派全盛期を対象とした分析結果をまとめて発表することが喫緊の課題である。さらに、来年度の課題である久保田万太郎や川口松太郎の作品における音楽演出についても調査、分析を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

資料の撮影費用が抑えられたことなどが、当該助成金が生じた理由である。今年度はアルバイトへの謝金、学会参加のための旅費の他、資料整理のための機器の購入なども予定している。

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公開日: 2019-12-27  

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