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2020 年度 実施状況報告書

近代日本における新興演劇の演出に関する研究―新派の音楽演出を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 17K02287
研究機関共立女子大学

研究代表者

土田 牧子  共立女子大学, 文芸学部, 准教授 (30466958)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード劇音楽 / 音楽演出 / 新派 / 川上音二郎 / 日本近代演劇
研究実績の概要

今年度は川上音二郎が手掛けた初期の演劇について、資料収集とその分析を主に行った。その結果は、2020年12月に開催された東洋音楽学会東日本支部第118回例会における研究発表として示した。
研究の具体的内容は、明治23(1890)年の東京進出から日清戦争劇が人気を博した明治27~28年の間に上演した作品を対象とし、早稲田大学演劇博物館が所蔵する川上芝居の台帳を資料として、音楽演出に関する記述を翻刻・検証することであった。対象作品は『板垣君遭難実記』・『希臘歴史経国美談』・『佐賀暴動記』・『ダンンハイケナイワタシハテキズ』・『壮絶会絶日清戦争』・『威海衛陥落』の6作品である。
その結果、『希臘歴史経国美談』(明治24年6月)など最初期の作品群では、浄瑠璃や独吟、唄、合方などの歌舞伎的な用法を多用する場面が多数確認できた。『壮絶快絶日清戦争』(明治27年7月)の頃になると、効果音的な用法が主になってくるものの、ラッパや砲声の音とともに〈流行唄〉や〈時の太鼓〉など歌舞伎の黒御簾で常套の用法もまだ使われていることが確認できる。例外的に『板垣君遭難実記』(明治24年6月初演)の台帳には音楽を使った演出がほとんど認められないが、現存台帳が一場のみであるため、作品の全体像は分からない。見取り狂言として、初演から年月を経て上演された際の台帳である可能性もあるだろう。今後は以上の成果を文字資料として発表することを検討したい。
その他、今年度は『金色夜叉』『滝の白糸』『婦系図』『不如帰』関連資料(明治末~昭和初期)の収集、昭和期の川口松太郎作品『鶴八鶴二郎』・『遊女夕霧』・『風流深川唄』の付帳(音楽資料)の翻刻作業を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ事由による研究延長期間であるが、その中で台帳資料の収集と翻刻、それをもとにした口頭発表を行えたことは大きな成果であった。資料の閲覧にご協力いただいた早稲田大学演劇博物館には御礼を申し上げたい。

今後の研究の推進方策

今年度も延長を申請したが、これは昨年度までの成果を報告書としてまとめるための期間である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ感染症拡大のため、思うように作業が出来なかったが、補助事業期間(2021年度)に報告書として成果をまとめる予定である。当該助成金はその作成にあてる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 川上音二郎の初期作品における音楽演出について2020

    • 著者名/発表者名
      土田牧子
    • 学会等名
      東洋音楽学会東日本支部第118回例会

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公開日: 2021-12-27  

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