研究課題/領域番号 |
17K02292
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
塩川 博義 日本大学, 生産工学部, 教授 (50187324)
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研究分担者 |
梅田 英春 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (40316203)
皆川 厚一 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (60337748)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ガムラン・プレゴンガン / 音高 / 形状 / ゴング / 青銅の成分分析 |
研究実績の概要 |
カンボジアのクメール古代遺跡に描かれているゴングのレリーフについて日本大学生産工学部研究報告Aの研究ノートにまとめたものが、6月号に掲載された。 そして、夏にバリ島の楽器工場へ行き、ガムランの製作方法を確認するため、製作者にインタビューを行い、ガムランの音板など青銅部分の寸法を大きく作ると、音高が低くなることを確認した。このことは、昨年度、日本設計工学会のジャーナル「設計工学」に「ガムラン音板の固有振動特性に及ぼす形状の影響」というタイトルで掲載された論文でまとめた結果と同じである。これらを参考に、19世紀末までは、器楽を演奏するために作られた5音のガムラン・スマルプグリンガン(のちに、レゴンダンスの伴奏に使われるようになるので、初期のガムラン・プレゴンガンでもある)が、20世紀に入って、レゴンダンスやバロンダンスの伴奏をするために、丈夫で大きな音を出す必要が出てきて楽器を大きく作るようになり、そのため、ガムラン・プレゴンガンの音高がD#からC#へと時代とともに低くなってきたという考察を得た。以上の内容をまとめて、「Changes for Gamelan Pelegongan in Bali of Indonesia」というタイトルで、日本大学生産工学部研究報告Aの英文論文にまとめたものが、次年度6月号に掲載決定された。 また、夏に、バリ島・デンパサール市サヌール村のバンジャール・タマンにある古いブバロンガン用のバリ島で製作されたゴングと1980年代にジャワ島で作られた、やはりブバロンガン用のゴングを測定することができた。 さらに、平成29年度および30年度にバリ島の楽器工場において、採取したガムランの楽器で使用された古い青銅の破片をいくつか成分分析し、5月に開催された日本鋳造工学会第173回全国講演大会に「青銅の音響特性に及ぼす組織の影響」というタイトルで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カンボジアに数回通い調査した、カンボジアのクメール古代遺跡に描かれているゴングのレリーフについて、 日本大学生産工学部研究報告Aに「アンコール古代遺跡の浮彫に描かれたゴングに関する一考察」というタイトルでまとめることができた。 また、いままでインドネシア・バリ島で調査し、測定した11セットのガムラン・プレゴンガンのデータをもとに、日本大学生産工学部研究報告Aの英文論文に「Changes for Gamelan Pelegongan in Bali of Indonesia」というタイトルでまとめることができた。 また、数年かけて採取してきたガムランの楽器で使用された古い青銅の破片をいくつか成分分析して、5月に開催された日本鋳造工学会第173回全国講演大会に「青銅の音響特性に及ぼす組織の影響」というタイトルで発表できた。
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今後の研究の推進方策 |
ガムラン・プレゴンゴンについてまとめることができたので、次はガムラン・スマルプグリンガンについてまとめていきたい。特に、7音ペロッグ音階のガムラン・スマルプグリンガンについてまとめるために、できれば、同じ7音ペロッグ音階のガムラン・ルワンについてバリ島で調査を行いたい。 夏に、バリ島・デンパサール市サヌール村のバンジャール・タマンにある古いブバロンガン用のバリ島で製作されたゴング(おそらく、1930年代には存在していた)と1980年代にジャワ島で作られた、やはりブバロンガン用のゴングを測定することができたので、これらの結果も、何かにまとめたい。 また、インドネシア・ジャワ島やバリ島、そして、ミャンマーで作られたいくつかゴングの形状を測定することができたので、それらの形状データを用いて音響シミュレーションを行い、形状の違いによる音高、倍音成分の発生性状、そして、うなりの発生性状などを分析していきたい。 時間があれば、インドネシアやインドシナ半島にある古代遺跡を訪れて、その壁面に描かれているレリーフを調査して、最終的にこぶ付きゴングの発祥地がジャワ島であることを確認したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたバリ島への渡航が一回できなかったため。次年度の渡航費に充当する。
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