研究課題/領域番号 |
17K02294
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
磯 水絵 二松學舍大學, 文学部, 教授 (60130407)
櫻井 利佳 上野学園大学, 日本音楽史研究所, 研究員 (80622571)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 琵琶 / 独奏曲 / 古楽譜 / 唐楽 / 三秘曲 / 中原有安 / 三五要録 / 諸調子品撥合譜 |
研究実績の概要 |
本研究は琵琶師伝集『胡琴教録』について、【A.諸本研究】(担当:磯水絵、櫻井利佳、神田邦彦)【B.人物・史実】(担当:櫻井利佳、磯水絵、神田邦彦)【C.奏法・楽理】(担当:スティーヴン・G・ネルソン、根本千聡)の各分掌に分かれて調査研究を継続してきた。本文の輪読作業を行ない、2019年度末時点では『胡琴教録』上巻の校訂本文作成はほぼ完成した。中間報告を兼ねて、2019年12月7日、仏教文学会・説話文学会合同例会のシンポジウム「音楽と文学―『胡琴教録』の作者は鴨長明か―」にて研究成果を報告した。2021年度、以下のように学術雑誌に公表することになった(現在入稿済み)。 1.『仏教文学』第46号。磯水絵「前言」、落合愛菫「『胡琴教録』の成立をめぐって」、鈴木和大「『胡琴教録』中の玄上について」、神田邦彦「『胡琴教録』の原態」、磯水絵「『胡琴教録』の作者は鴨長明か」。 2.『説話文学研究』第56号。櫻井利佳「琵琶秘曲「三曲」の形成と音楽説話」、神田邦彦「中原有安と桂流」、スティーヴン・G・ネルソン「二つの《流泉》、《石上流泉》と《上原石上流泉》 ―『源氏物語』の一場面が《上原石上流泉》を権威付ける説話の生成に活かされたか―」。 以上の学術雑誌刊行後、2021年度以内、『胡琴教録』に関する、次の学術論文集を刊行する予定である。仮題『中世の琵琶師伝集 ―『胡琴教録』の研究―』(胡琴教録研究会編、新典社、2022年1月発行予定、新典社研究叢書)。 なお、胡琴教録研究会の副産物として、研究会メンバーを中心とした執筆者群による、次の学術論文集が出版された。磯水絵編『興福寺に鳴り響いた音楽 ―教訓抄の世界―』(思文閣、2021年3月、二松学舎大学学術叢書)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでの進捗状況報にも記したように、『胡琴教録』の輪読作業は、予想したよりも時間がかかり、上巻の校訂本文作成が終わったのは2019年度末であった。引き続き下巻の輪読作業を行なっていく予定であったが、新型コロナウイルス対策の関係で、2019年度末から定期的な研究会を開催できていない。情勢が変わり次第再開の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、A、B、Cの作業を遂行する。並行して、『胡琴教録』の解題、翻刻、注釈、現代語訳、年表、人物略伝、楽譜資料、解説などの執筆作業を続ける。 【A.諸本研究】 神田(2006)を基に、猪熊信男旧蔵本、岩瀬文庫蔵本、平松家旧蔵本など、真名本系統の諸本を精読し、輪読の成果もふまえて『胡琴教録』下巻の校訂本文を作成する。 【B.人物・史実】『胡琴教録』中の記事と史実との整合性の確認を行なう。主要な出来事については年表にまとめ、一覧できるようにする。 【C.奏法・楽理】 琵琶の実演による検証実験を行なう。検証の際には引き続き琵琶の演奏に精通した専門家に協力を依頼し、スタジオ録音を行なう。 これらの作業の成果の一部を上記学術論文集『中世の琵琶師伝集 ―『胡琴教録』の研究―』(仮題)に収めるとともに、引き続き『胡琴教録』上巻の注釈本のための原稿執筆・編集作業を続ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更に伴い、補助事業期間の再延長が認められた。2021年度は、研究会開催が可能となった場合には輪読作業を再開するが、当分はこれまでの研究成果の取りまとめ、原稿執筆・編集作業を続ける。繰越金額は、原則として用途を変えずに、編集作業の費用および専門的知識の提供への謝金(人件費・謝金)、スタジオ録音にかかわる諸費用(人件費、その他)に充てることとする。
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