研究課題/領域番号 |
17K02298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学・芸術諸学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小林 信之 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30225528)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 美 / 美的理念 / 反省的判断 / 合目的性 / 感性的なもの / エポケー / 美的なもの / 感覚の復権 |
研究成果の概要 |
本研究においては、主に以下の三点が主題化された。(1)現象学におけるエポケーの概念は、広義において、世界をまえにした「驚き」の経験であり、しかも「否応なく」おしせまってくるような、受動的次元の明証であるとすれば、そうした経験の延長において、カント的な、美の「無関心性」概念を考えることができるのではないかということ、(2)この無関心性概念は、レヴィナスによって独自の観点から解釈され、感覚の私秘性と、倫理的・公共的なものとの関係が問われたこと、(3)最後に、カントのいう美的次元での「主観的な」普遍妥当性のテーマと、メルロ=ポンティの間身体性と両義性の現象学との連関について、である。
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自由記述の分野 |
哲学・美学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
公共性をめぐる議論は近年わが国においても盛んになされ、社会哲学的研究の蓄積が整いつつある。しかし社会的・政治的文脈でのみ議論が完結するため、一般に「感性」的次元での考察が抜け落ちてしまっている。たとえば、ある歴史的事件にかんして「客観的」な記述と政治的評価をしめすことで、よりよい公共空間の形成に資することは重要であるが、しかし他方で、その出来事に潜在している無数の「物語」とかけがえのない個別的視点を忘れてはならない。一般的議論から抜け落ちてしまうそうした固有性を救いだすべき役割を担う研究が自覚的に遂行されることは少なく、その点で本研究は、現代において一定の意義を有していると考えられる。
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