研究課題/領域番号 |
17K02300
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
竹中 悠美 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (90599937)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 写真論 / 展覧会研究 / 写真集研究 / 追悼 / 記念碑 |
研究実績の概要 |
(1) 先行研究としてJ.ランシエールやH.ベルティンクのイメージ論とそれらをめぐる論考や言説の読解と検討を行った。 (2)ベルリン自由大学の美術史研究所との共同ワークショップに参加し、写真家植田正治について研究報告を行った(2017/6/30)。その渡独に先立って、2名の院生の協力を得て、ドイツとイギリス内に位置する戦争・犯罪・災害についての博物館、記念館、歴史資料館についての情報を書籍とウェブサイトから収集してデータとしてまとめ、約1週間のベルリン滞在時に現地の施設調査に役立てた。 (3) 立命館大学国際言語文化研究所重点研究プログラム「風景・空間の表象、記憶、歴史」で研究報告を行うとともに国際ワークショップ 「ベルリンのモダニズム―20世紀前半のメトロポリスの表象―」(2017/10/14)を開催した。また、立命館大学平和教育研究センターのプロジェクト「平和博物館における戦争体験継承のための展示モデル構築」の第4回ワークショップ「Remembering the Saved City: Kyoto, the Atomic Bomb, and the Nuclear Taboo」(2017/8/8)や第5回「戦争の記憶を紡ぐ 写真メディアの可能性」(2017/11/15)を開催した。ドイツ・ブラウンシュヴァイク美術大学の写真のワークショップにコメンテーターとして参加した(2018/3/23) (4) 立命館大阪梅田キャンパス講座で「写真展「ザ・ファミリー・オブ・マン」は世界でどう見られたか」というテーマで写真展について論じ(2018/3/20)、科研費外国人特別研究員として受け入れていたイギリス・ラフバラ大学の研究者Marco Bohr氏の論文の翻訳「無人地帯 No Man’s Zone─津波の余波の中のエッセイ・フィルム」を『立命館言語文化研究』29巻4号に発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年に開催された「ドクメンタ」、「ヴェネツィア・ビエンナーレ」、「アルル国際写真祭」等、ヨーロッパ各所での国際美術展は職務とのスケジュール調整が困難であったため調査ができなかった。 しかし、ベルリンでの調査が充実したこと、そして国内外での各種国際ワークショップを通じて、ドイツ、イギリス、アメリカとの国際的な研究者ネットワークを拡げることができ、今後の研究の進展や成果発表の展望が広がった。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には前年度の研究を継続推進していく。 (1) 先行研究や研究課題と関連する理論や言説の読解と検討 (2) 本研究に関わる世界各地の公共施設や美術展・写真展の情報収集。リサーチアシスタントとして院生1~2名 の協力をもとに、中国語圏や韓国の戦争・犯罪・災害についての博物館、記念館、歴史資料館ならびに過去の美術展の情報を、アジアを中心に収集し、分類リストを作成する。 (3) 文献・各種資料と現地調査から重要事例と問題抽出。平成 30年に開催予定の光州ビエンナーレ、釜山ビエン ナーレ、北京ビエンナーレ、台北ビエンナーレ等の国際美術展とともに(2)でピックアップしたアジアの施設の 現地調査と資料収集を行う。 (4) 事例調査と問題の考察を総合した研究結果を順次、口頭発表や論文等で発表。本研究に関わる学会・研究会 ・シンポジウムへの出席し、他の研究者や有識者との意見交換を通じてネットワークを形成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費に関して、ベルリンで研究報告と調査を行った出張旅費に立命館大学の研究者海外渡航支援制度からの10万円の補助金が充当されたことと、イタリア、フランスへの出張を行わなかったため支出金額が予定より少なくなった。 人件費に関して、リサーチアシスタントとして調査協力を行っていた2名の院生がそれぞれの研究のために海外渡航したため、アルバイトとしての雇用が継続できなかった。 次年度の使用計画として、調査のための旅費と資料費、英語論文校正の謝金、国内外からの研究者を招いてワークショップを開催するための謝金とそのワークショップの準備と通訳や翻訳の人件費を予定している。
|