研究課題/領域番号 |
17K02300
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
竹中 悠美 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (90599937)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 写真論 / 写真集研究 / 展覧会研究 / 現代アート / 記念碑 / 記憶 |
研究実績の概要 |
3年目の本年度はこれまでの研究成果の中間報告として、1950年代の日本における被爆者や災害の写真展と写真集の問題を中心に主に国際学会と英語論文そして共編著で発表することに注力した。 (1) 口頭発表としては、2019年6月に立命館大学での国際共同ワークショップFreie Universitet Berlin-Kobe University-Ritsumeikan University Joint Workshop on Landscape and New Media in Art, Film and Theatreで“Beauty and Burden in Japanese Snowscape pictures” を、7月にセルビアのベオグラード大学でのInternational Congress of Aestheticsで“The Family of Man in Japan: A Photographic Exhibition for World Peace and Atomic Culture in the 1950s” を、10月に中国の湖北大学でのInternational Association of Eastern Aestheticsで“The boundary zone between natural phenomena and natural disasters in Japanese popular art: Focusing on ukiyo-e and documentary phonebooks”を発表した。 (2) 公刊物としては、アメリカでの美術館の倫理的問題を告発するG・レヴィンの論考の翻訳「芸術家の遺産と美術館の倫理─信頼が裏切られるとき─」を『立命館産業社会論集』に、英語論文“Realism and Ethnology in Ueda Shoji’s Photography: Another Aspect of Ueda-cho"を『Art Research, Special Issue』に、そして2019年5月にドイツと日本の学芸員と近現代史研究者を招いて開催した国際シンポジウム「ドイツ・モダニズムの黎明期とベルリン」等の論考と拙論を編纂した『風景の人間学─自然、都市、そして記憶の表象』を仲間裕子との共編著で2020年3月に三元社より出版した。 (3) フィールド調査としては瀬戸内芸術祭、あいちトリエンナーレ等の国際美術展とともにベルグラードとウィーンの博物館、美術館の調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までの研究成果を国際的に発表する機会を複数回得たことは計画以上の進展であった。一方で、英語での成果発表に時間と労力を費やしたことと2020年以降は新型コロナウィルス感染拡大によって国際的な調査や研究交流が中断されたことから、次段階の研究への進展がやや遅れてしまった。それらを相殺すると進捗状況はおおむね順調に進展しているとなるが、次年度に課題を持ち越すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
研究方法は以下を継続しつつ、本年度に発表した研究成果へのフィードバックを吟味した上で、研究を次段階へと深めて行く。 (1) 先行研究や研究課題と関連する理論や言説の読解と検討 (2) 本研究に関わる世界各地の公共施設や美術展・写真展の情報収集。 (3) 本年度の国際学会での発表内容を『The Journal of Asian Arts & Aesthetics』(華藝学術出版、台湾)、『Popular Inquiry』(アアルト大学、フィンランド)、『The Journal of Multicultural Srudies of The Orient』(広西師範大学、中国)に論文として掲載する。 (4) これまで築いた東アジアの研究者とのネットワークをもとにオンラインのシンポジウムを開催する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の繰越が約50万円あったことと、2020年の2月に中国のハルピンから3月に台湾の台南からそれぞれ研究者を招聘して研究会を開催する予定であったが、新型コロナウィルス感染対策で開催が延期となったため。 次年度の使用計画として、研究会やシンポジウムをWeb会議の形式で開催できるよう情報インフラの整備、延期となった研究会やシンポジウムを開催して講師の謝金、スタッフの人件費、加えて研究会の報告書を作成のために録音原稿の文字起こしの人件費、および翻訳や英語論文校正の謝金に充当する。
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