研究課題/領域番号 |
17K02301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学・芸術諸学
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研究機関 | 東京大学 (2019) 立命館大学 (2017-2018) |
研究代表者 |
吉田 寛 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40431879)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 没入 / イマージョン / 錯覚 / イリュージョン / 虚構 / フィクション |
研究成果の概要 |
本研究課題は、没入(イマージョン)の概念を美学的観点から考察するものである。没入は近年、仮想現実や拡張現実の分野で大きく脚光を浴びているにもかかわらず、その概念規定や学術的位置付けが依然、定まっていない。そこで本研究課題は、錯覚や虚構など、美学や芸術学の分野で蓄積されてきた芸術作品やその鑑賞経験の特質に関する概念や理論を、1990年代以降、コンピュータ科学や認知科学の領域で展開してきた理論や実践と接続することで、没入に関する総合的な美学理論の構築を行った。没入は、虚構世界との関わり方をめぐる心的状態であり、感覚刺激だけでなく、信念や想像力もまた、それを生み出す契機であることが明らかになった。
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自由記述の分野 |
人文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題は、現代の技術やメディア環境のもとでわれわれが経験している「没入」という現象を、より包括的で体系的に理解し、分析し、評価するための理論的枠組みを構築した。最新技術の開発や普及の場面では、表面的な新しさが過度に強調される一方、既存の概念や理論との連続性や連関が見失われがちだが、仮想現実の技術革新と結び付いている「没入」は、まさにその一つである。没入という一見新しい現象を、錯覚や虚構など美学や芸術学における既存の概念との連関の中で分析した本研究課題は、現代の技術やメディア環境における虚構世界のあり方を解明し、ユーザーの積極的関与が要請される様々な社会実践に有益な示唆を与えるものである。
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