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2017 年度 実施状況報告書

A.ストロークの興業にみる音楽マネジメントの近代

研究課題

研究課題/領域番号 17K02303
研究機関大阪音楽大学

研究代表者

井口 淳子  大阪音楽大学, 音楽学部, 教授 (50298783)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードA. ストローク / 興行 / 音楽マネジメント / 原善一郎 / 上海租界 / アジアツアー / オスカー・ストローク / ラトヴィア
研究実績の概要

今年度は、8月14日から21日までラトヴィア共和国を訪問、現地研究者とともに興行主、A.ストローク(Awsay Strok)の出生に関する現地調査を行った。その結果、国立ラトビア図書館のアーカイブに所蔵されているストロークの出生記録ならびに1897年に実施された帝政ロシアによる国勢調査に記載された家族構成、生誕地(ダウガフピルス市)を確認できた。そこでダウガフピルス市内の生誕地跡を国勢調査の地名にもとづき確認した。20世紀初頭にラトヴィア国内ではユダヤ人排斥運動が広がり、ストロークが生まれたユダヤ人集落もおよそ100年前には消滅していた。また、これまでストロークの生年は墓石などから1876年とされていたが、実際には1875年であったこと、また末弟のタンゴ作曲家、オスカー・ストロークについてはリガ市内やダウガフピルス市内でその功績が今日なお顕彰され続けていることが確認できた。
資料調査としては、これまでに進めてきたストロークの興行一覧を再度、上海発行の外国語新聞により精査し、戦前の彼のマネジメントは1941年1月まで続いていたことが判明した。さらに戦後、メニューヒン招聘をきっかけに再開されたアジアツアーについては、東京公演の写真、および大阪公演のプログラムを確認し、それらの画像、文字データを入手することができた。
ラトヴィア、および日本国内での資料調査の成果のなかで浮かび上がってきたストロークのビジネスパートナーであり、オーケストラ・マネージャーであった原善一郎(1900年生、1951年没)の活動と二人による共同マネジメントについては日本音楽学会第68回大会(京都教育大学)にて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ラトヴィア共和国での資料調査は、現地研究者の協力を得たことで、短期間で最大の収穫をえることができた。ストロークの生誕地を訪ねることで、20世紀初頭にラトヴィア国内のユダヤ人人口が激減し、集落が消滅していたことが確認できた。アウセイ・ストロークは故国では忘れられているが、弟のタンゴ作曲家、オスカー・ストロークについては博物館展示や記念コンサートなど顕彰活動がさかんであることも判明した。
当初予定していた、ストロークが主催した大阪公演のデータは、管理上の理由によって、その入力作業およびアーカイブ化ができなかったため次年度にもちこすこととなった。

今後の研究の推進方策

初年度はニューヨークあるいは上海での資料調査を予定していたが、確実に新資料が得られるラトヴィア共和国に調査地を変更した。次年度には当初予定していた公演プログラム等関係する資料所蔵地を現地調査する予定である。

次年度使用額が生じた理由

データ入力を予定していた、ストロークが主催した大阪公演プログラムの入手が予定通りに行うことができず、次年度にもちこされることになったため。次年度使用額をこのプログラムスキャン作業および入力作業にあてる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] A.ストロークと原善一郎: 日本の音楽マネジメント史を「外地」との関わりから読み解く2017

    • 著者名/発表者名
      井口淳子
    • 学会等名
      日本音楽学会第68回大会(京都教育大学)

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公開日: 2018-12-17  

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