研究課題/領域番号 |
17K02308
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
藤原 貞朗 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (50324728)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ポストジャポニスム |
研究実績の概要 |
今年度も昨年度と同様に、コロナ禍の影響のため、計画していた国外調査とフィールドワークが実行できず、課題研究のために新たな文献と視覚資料の収集と分析ができなかった。研究期間の再延長を申請し、来年度に最終的な調査を行いたい。最終年度となる来年度の国外調査研究に向けて、今年度はこれまでに収集した視覚資料と文献を整理し、分析することに注力した。とはいえ、国内調査についても、同様の理由で十分な調査はできなかった。それでも研究に必要な文献を数点収集して分析するとともに、計画にはなかった新資料もいくつか発見することができた。 4ー7月は前年度までに収集した文献とデータベースの作成と分析を行い、とりわけ1930ー40年代の英仏独の日本美術研究の交流や日本文化関連の展覧会の関係性を跡づけた。8-12月はコロナの収まる時期に合わせて、東京と京都を中心に図書館や研究施設に所蔵される文献収集を実施した。1ー3月も同様に行動可能な時期を利用し、文献の収集を行った。合わせて、蒐集した文献資料に関して、とくに日仏の文化交流と政治的関係の分析に照準を合わせ、重要な文献の比較分析を行った。分析の結果は、いくつかの研究論文に反映させて発表することができた(今年度の研究成果を参照のこと。) また、今年度は1年をかけてジャポニスム学会が出版する著書『ジャポニスムを考えるー日本文化表象をめぐる他者と自己』(思文閣出版)の編集委員(全4人)を担当し、全体の構成やまとめの執筆作業を行い、その作業のなかで本研究課題の研究成果の一部を活かすことができた。同様に、12月5日に同学会が開催した国際シンポジウム「ジャポニスムと東洋思想ー19~20世紀」のコーディネーターを学会理事として務め、開催趣旨と総括の口頭発表において、本研究課題の研究成果を反映させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度も昨年度と同様に、コロナ禍の影響のため、計画していた国外調査とフィールドワークによる課題研究のために新たな文献と視覚資料の収集と分析ができなかった。そのため、研究計画を完了させることができず、来年度に研究を継続することとした。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の再延長による研究の最終年度にあたるため、国外調査を実施し、研究課題の解決を図る。夏季休暇中の8月から9月にかけて、フランスに渡航し、国立美術史研究所や国立アジア美術館、INLCOなどが所蔵する文献資料と視覚資料を調査する。 本課題の調査研究は、日仏美術文化に関わる著作物を中心とする文献学的調査と日仏相互の文化交流ないし対立を学際的に分析する研究の二つに分かれるが、これまで収集してきた文献資料を精査し、データベースを完成して公表するとともに、各論的な分析結果をまとめたい。推進方策は先に策定した計画に従う。「①日仏美術文化論の特質の抽出とその推移(変化、重層化、相互影響)の見取り図(グランドデザイン)の策定する」及び「②上記見取り図を、大戦間期の日仏双方の美術文化の政治性と文化および政治の対外政策の変化や推移にリンクさせ、双方美術文化論の交流・影響・対立の諸関係の構造を明らかにする」。とりわけ、戦時体制へと向かう1930年代における相互受容関係の変化をあらためて重視し、美術文化交流と政治的齟齬の現実とそこへ至るプロセスの解析に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も昨年度と同様に、コロナ禍の影響のため、計画していた国外調査とフィールドワークによる課題研究のために新たな文献と視覚資料の収集と分析ができなかった。研究期間の再延長を申請し、来年度に最終的な調査を行いたい。
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