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2018 年度 実施状況報告書

仏像の聖性を保証する像内納入品の機能に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02315
研究機関岡山大学

研究代表者

佐々木 守俊  岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (00713885)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード仏像 / 像内納入品 / 月輪 / 胎内仏 / 転宝輪鈔 / 往生伝 / 仏身論
研究実績の概要

前年度に引き続き、仏像の像内納入品のうち月輪と小仏像(いわゆる胎内仏)を研究対象とし、像内納入の信仰上の必然性や、納入品を安置する場である像内空間の意義について考察した。本年度は特に史料の検証を中心に進めた結果、『転宝輪鈔』や貴族日記をはじめとする平安末期の諸史料や、唐・宋代の往生伝・霊験記などの記述に、従来指摘されることのなかった月輪や小仏像の納入の事例を多く見出すことができた。加えて、従来の美術史研究では検証されてこなかった隣接分野の先行研究を視野に収め、ほとけの体内についての密教的な理解を取り入れることで、納入品が仏像に聖性を与えるとの論理のよりどころについてもおおむね確証を得ることができた。ただし、年度内に予定していた専門誌への論文投稿には至らなかったので、最終年度に投稿を実現し、研究結果を公表したい。
また、一連の史料探索と検証を通じ、この研究は像内納入される月輪や小仏像の「入れ物」にあたる仏像が真のほとけと認識されていたのか、もしくは造形物と認識されていたのかという問題に直結するとの視点の獲得に至り、さらなる史料の探索に努めた。この試みは、仏像とは何か、なぜ必要とされたのか、という根本的な問題にかかわるもので、仏身論と密接に関係するため、性急に答えを求めることなく、作品調査と史料の探索・検証によっていっそう知見を蓄積することで具体的な議論を構築したい。ただし、作品調査がやや遅れており、調査じたいが不可能なケースもあるため、現状ではまだ十分な情報を得られていない。この点については最終年度に研究方法を再考し、前年度に投稿を予定していた論文に加え、別の場で研究成果を公表する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

情報はかなり収集できたが、作品調査が不可能な場合があるほか、本研究のために予定していた時間を確保できず、本年度中に予定していた研究成果の公表に至っていない。

今後の研究の推進方策

調査対象とする作品を再検討し、調査が可能でかつ有益な情報が得られると見込まれる作品について調査と検証をおこなう。並行して史料調査を継続し、3年度分の知見を総合するかたちで論文1篇を専門誌に投稿するほか、もう1篇を公表する。この2篇で扱えなかった新史料や新たな作品情報は、年度末に刊行する報告書で公表する。

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公開日: 2019-12-27  

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