研究課題/領域番号 |
17K02327
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
南後 由和 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (10529712)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | コンスタント / ニューバビロン / 絵画 |
研究実績の概要 |
1. 画家としてキャリアを出発したオランダの芸術家コンスタント・ニューウェンハイスによる「ニューバビロン」(1956-74)を、絵画が共通の基盤をなし、ドローイング、彫刻/コンストラクション、模型、地図、テキストなどのメディウムの境界を越境および逸脱しながら形づくられる〈トランスメディア〉として位置づけ、芸術家と鑑賞者、建築家とユーザー、作り手と使い手などの関係性の変容を見出した。 2. 絵画のディシプリナリティが、どのようにニューバビロンの制作に発展、継承されていったのかを明らかにするため、ニューバビロン前史に関する研究として、「オランダ実験グループ」や「コブラ」時代の絵画の特徴についての考察を進めた。コブラ時代に関しては、動物、子ども、擬人化した動物などを描いた「コブラ前期」と、戦争をめぐる恐怖や不安、空襲や火災による惨状、都市に暮らす人間の不自由さを描いた「コブラ後期」に区分したうえで、絵画の技法、線、色彩、構図などの形式レベル、モチーフなどの内容レベルから分析をした。 3. オランダ国立美術史研究所(RKD)のアーカイヴで、ニューバビロン前史についての一次資料の追加収集、アムステルダム市立美術館やWitte de withのアーカイヴで、コンスタントが同美術館および現代美術センターで出展した展覧会についての資料取集と分析を進めた。コンスタント財団の協力を仰ぎながら、ニューバビロンに関する映像資料の分析を進めたほか、コンスタントがオランダ国内で移り住んだ住居やアトリエを訪問・見学した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文執筆の過程で必要となった一次資料や映像資料の追加収集をオランダの各機関で実施することができ、より精緻で厚みある考察へとつなげることができた。ただし、今年度の約半分はイギリスに滞在し、本研究課題と関連する国際共同研究加速基金・国際共同研究強化(A)の研究課題に重点的に従事したため、論文の執筆に予定より遅れが生じた。 これらの理由により、「(2) おおむね順調に進展している。」と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度からの課題であるコブラ時代の絵画と、前期ニューバビロンの模型のあいだをつなぐ、ネオヴィジョン時代の彫刻/コンストラクションについての考察をする。そのうえで、本研究課題全体の成果発表に向けた論文執筆を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は本研究課題と関連する国際共同研究加速基金・国際共同研究強化(A)の研究課題に優先的に取り組むことになり、補助事業期間を延長したため。次年度の研究費は文献収集に加え、本研究課題の成果発表に向けて必要となる図版の版権使用料などに使用する予定である。
|
備考 |
webページは、10+1 webisteに掲載された南後由和・貝島桃代の対談記事である。
|