研究課題/領域番号 |
17K02327
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
南後 由和 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (10529712)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | コンスタント / ニューバビロン / 絵画 / コンストラクション / 模型 / オランダ |
研究実績の概要 |
1.オランダの芸術家コンスタント・ニューウェンハイスのテキスト分析を通じて、コンスタントによる芸術および芸術家の社会的位置をめぐる語りに、マルクス主義に由来する芸術社会学との接点を見出した。アンリ・ルフェーヴルの都市・空間論に加えて、ヨハン・ホイジンガの「遊び」の概念とマルクス主義の交差、ノーバート・ウィナーのサイバネティクスなど、コンスタントによる「ニューバビロン」(1956-74)の思想的骨格についてまとめた。 2.昨年度のコブラ時代の絵画に関する研究の発展として、コブラの運動を、シュルレアリスムやプリミティヴ・アート、ジョアン・ミロ、パウル・クレーなどとの関係を踏まえながら、戦後ヨーロッパの美術史的文脈に位置づけるとともに、デンマークやベルギーとは異なるオランダ固有の文脈について考察した。 3.コブラ時代の絵画から、ネオヴィジョン時代のコンストラクションへの移行に関して、デ・ステイル、ロシア構成主義、ルチオ・フォンタナなど、先行する美術史的文脈との関係を踏まえながら、点・線・面および空間の観点から考察を進めた。 4.ギー・ドゥボールとコンスタントの往復書簡などの分析を通じて、両者の技術および建築観の違いや、シチュアシオニストのなかにおけるコンスタントの立ち位置を明らかにした。 5.コンスタントによるニューバビロンのドローイング/リトグラフと模型のあいだの連続性と差異に関して、線と色彩、遠近法/パースペクティヴと次元、フレームとグリッドなどの観点から詳察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大にともなう、オランダ国立美術史研究所(RKD)のアーカイヴなどの各種図書館や美術館の臨時閉館により、資料の収集と分析を進展させることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
前期ニューバビロンの模型から中期ニューバビロンの地図制作への移行について、スケールの観点から考察を進めるとともに、後期ニューバビロンにおける絵画への回帰の流れについての考察をまとめる。コブラ時代からニューバビロンに至るまでの図版の収集と整理をする。そのうえで、本研究課題全体の成果発表に向けた論文を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大にともなうオランダの図書館や美術館の臨時閉館により、アーカイヴでの資料収集や図版の取り寄せができず、補助事業期間を再延長したため。次年度の研究費は資料収集に加え、本研究課題の成果発表に向けて必要となる図版の版権使用料などに使用する予定である。
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