研究課題/領域番号 |
17K02329
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
龍澤 彩 金城学院大学, 文学部, 教授 (00342676)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日本美術史 / 物語絵 / 源氏絵 |
研究実績の概要 |
2018年度前半は、前年度までの研究成果の一つとして、物語絵の普及と扇の関わりについての論文「扇と物語絵に関する一考察」(『金城学院大学論集(人文科学編)』第15巻第一号 2018.9 145~156頁)を刊行した。大名道具に関する研究としては、「尾張徳川家の大名道具に見る八幡信仰 家祖尊崇との関わりから」(『説話文学研究』第53号 2018.8 36~47頁)を刊行した。また、宇治市源氏物語ミュージアムの連続講座にて「描かれた光源氏のものがたり 源氏絵の系譜」という講演を行い、同館所蔵の「源氏物語画帖」について他作品との比較研究を行った。発表内容は現在論文として執筆中である。 後半は、アメリカにおける源氏絵の調査を集中的に行った。これまで詳細な研究がなされていない作品も多く、今後美術史的な位置づけを検討していく為に必要な基本的なデータを収集した。主な調査作品は以下の通りである。【フリーア美術館・ミネアポリス美術館・メトロポリタン美術館・ニューヨーク市立公共図書館・ハーバード大学美術館・フィラデルフィア美術館・ブリンマー大学図書館】調査作品のうち、ミネアポリス美術館の土佐光成筆「源氏物語色紙貼交屏風」、メトロポリタン美術館の伝海北友雪筆「源氏物語絵巻」に関しては、論文・口頭発表の形で成果を発表する準備を進めている。 2018年度中、在米研究の成果の一部を、研究集会「フリーア美術館所蔵作品を通した日本絵ものがたり文化遺産の発見―絵巻を中心にその世界を探求するー」(2019年3月20日・於フリーア美術館)において「フリーア美術館所蔵「酒呑童子絵巻」について」と題して発表した。同発表では、フリーア美術館所蔵の「酒呑童子絵巻」のディテール表現に着目し、絵巻の発注者に関する推論を述べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、計画段階から予定していた在米調査を行うことができた。海外調査は2017年度に予定していたが、2018年度に本務校での半期の特別研究期間(サバティカル)を取得することとなったため、2018年度に集中して行った。結果として、当初予定していなかった美術館等でも、関連作品を調査することができ、成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる今年度は、研究テーマに沿った作品調査を継続して行いつつ、これまでの調査結果をふまえて、論文等の形で成果を発表していく。現在、フリーア美術館所蔵「酒呑童子絵巻」、宇治市源氏物語ミュージアム所蔵「源氏物語画帖」、ミネアポリス美術館所蔵「源氏物語色紙貼交屏風」、メトロポリタン美術館所蔵「源氏物語絵巻」に関する論文・書籍の刊行に向けた準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅程および資料所蔵先の都合により、2018年度の調査地をアメリカ東海岸を中心にまとめることとなったため、旅費として計上していた額を支出が下回った。次年度、調査旅費および成果発表に必要な資料(画像含む)購入費などに充てる計画である。
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