研究課題/領域番号 |
17K02334
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
吉原 弘道 九州産業大学, 基礎教育センター, 准教授 (50552212)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 美術史 / 日本刀 / 刀剣 / 刀剣書 / 刀鍛冶 |
研究実績の概要 |
1、古文書・古記録の調査・収集として、本学の図書館及び周辺大学の図書館などで刊本史料集(室町~戦国時代の古文書・古記録など)から日本刀の贈答に関する記事を収集し、東京大学史料編纂所で未活字史料(室町~戦国時代の古文書・古記録の写真帳・影写本など)からも日本刀の贈答に関する記事を収集した。さらに、収集作業の成果を基にして、贈答に用いられた日本刀のデータベース化作業(刀鍛冶名・贈答者及び身分差などを抽出して入力)を進めた。 2、収集している中世刀剣書から日本刀(刀鍛冶)の評価・代付に関する記事を収集し、本学の図書館及び周辺大学の図書館などで文献史料から日本刀(刀鍛冶)の評価・代付に関する記事を収集した。さらに、収集作業の成果を基にして、日本刀(刀鍛冶)の評価・代付のデータベース化作業(刀鍛冶名・評価及び代付などを抽出して入力)を進めた。 3、中世刀剣書の追加調査・収集として、東京都立中央図書館、国会図書館、東京大学史料編纂所、国文学資料館などに所蔵されている刀剣書の補足調査を行った。原本・写真帳などによる校正作業により、翻刻データの修正ができた。これまで収集した中世刀剣書からも、南北朝~室町時代の刀鍛冶を抽出して翻刻作業を進めた。さらに、翻刻作業の成果を基にして、中世刀剣書に記載された南北朝~室町時代の刀鍛冶のデータベース化作業(刀鍛冶名・作刀時期・作刀地域・流派などを抽出して入力)を進めた。 4、現存する日本刀の銘文の調査・収集として、日本刀関係の書籍から国指定文化財(国宝・重要文化財・重要美術品)及び財団法人日本美術刀剣保存協会指定品(特別重要刀剣・重要刀剣)などから南北朝~室町時代の刀鍛冶が製作した日本刀から銘文を収集した。さらに、収集作業の成果を基にして、南北朝~室町時代の現存する日本刀のデータベース化作業(刀鍛冶名・作刀時期・作刀地域・流派などを抽出して入力)を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、古文書・古記録の調査と記事の収集、中世刀剣書の追加調査・収集、中世刀剣書の翻刻・校訂作業、日本刀関係の書籍から現存する日本刀の銘文の調査・収集が進捗した。さらに、作業の成果を基にして、データベース化作業も進捗した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画に沿って作業を行う。南北朝~室町時代の刀鍛冶のデータベースを完成させ、平安時代後期~鎌倉時代の刀鍛冶データベースとの統合作業を進める。さらに、室町~戦国時代の古文書・古記録から作成した日本刀の贈答に関するデータベース及び中世刀剣書・文献史料の刀鍛冶ごとの評価・代付の記載から、刀鍛冶ごとの美術的評価(ランク・序列化など)、贈答品としての日本刀の流通実態、日本刀が贈答品・美術品として関心を持たれていく過程などについての分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に受理いただいた前倒し支払額の一部が、昨年度も消化できず残ってしまった。理由は、依頼していた中世刀剣書の複写支払い手続きが遅れて翌年度扱いとなったためである。
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