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2018 年度 実施状況報告書

幕末世相取材錦絵の美術史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02336
研究機関国立歴史民俗博物館

研究代表者

大久保 純一  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90176842)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード錦絵 / 風刺画 / 百鬼夜行 / 妖怪 / 戊辰戦争
研究実績の概要

戊辰戦争関係の錦絵が大量に出版された1868年に焦点を当てて館蔵資料の中から100点以上の資料の抽出をおこない、それを書誌データベース化することができた。2018年度は明治維新150年ということで、各地で維新関係の展示がおこなわれており、戊辰戦争関係の資料情報の収集の好機であった。本研究においても、その成果の一部を、戊辰戦争の風刺画に焦点を当てた国立歴史民俗博物館の特集展示「錦絵in 1868」(4月17日~5月20日)として公開することができた。また前年度に引き続き四日市市立博物館、豊橋市二川宿本陣資料館、山口県立萩美術館・浦上資料館、神奈川県立歴史博物館など各地の博物館や美術館で開催された浮世絵展等を調査し,幕末期の作品中における風刺画的要素の抽出をおこなったが、とくに「百鬼夜行」のモティーフを風刺画としてのコードに用いた作品が予想以上に多数存在することを見いだし得た。昨今の妖怪研究ブームの中においても、幕末の風刺画との関連で「百鬼夜行」のモティーフが注目されることは多くはなく、風刺画解読のコードの抽出という点で興味深いデータを得ることができた。文献的な情報としては、『藤岡屋日記』などの幕末資料の中に、「百鬼夜行」が風刺画のキーワードとして登場することや、幕府判例集である『市中取締類聚』の中に、妖怪を想像させるあやしい絵の出版が「御政道風刺」の怖れあるものとして当局の監視対象となっていたことなどの知見も得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2018年度は明治維新150年ということで、日本各地の博物館で維新関係の展示がおこなわれており、戊辰戦争関係の資料情報の収集好機に恵まれていた。そのため、戊辰戦争関係の錦絵の画像情報に限らず、風刺画出版の背景となる地方の政治状況に関する知見も得やすかったため。

今後の研究の推進方策

ひきつづき、日本各地の博物館・美術館に所蔵される幕末の錦絵の調査をおこなうおともに、展覧会の調査も精力的におこなうことで、画像情報の蓄積とデータベース化をはかる。妖怪表現が風刺画の重要なコードであることがこれまで以上に明らかになってきたため、その前提となる江戸中・後期の妖怪画を、錦絵などの一枚摺に限定せず、絵本類、肉筆絵巻なども含めて幅広く調査する必要性も出てきた。

次年度使用額が生じた理由

年度末の調査のための出張が、勤務の関係でキャンセルせざるを得なかったため。

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公開日: 2019-12-27  

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