研究課題/領域番号 |
17K02353
|
研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
桐山 孝司 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 教授 (10234402)
|
研究分担者 |
上平 晃代 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 助手 (60796366)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | アニメーション / インスタレーション / アルスエレクトロニカ・フェスティバル / Rhythms and Visions |
研究実績の概要 |
2017年4月には、南カリフォルニア大学(USC)映画芸術学部で行われたRhythms + Visions / Expanded + Live 3に上平晃代が「オオカミのゆりかご」を出展した。この展示会は一晩だけの短時間であったが、数千人の来場者がUSCのキャンパスを訪れ、アニメーション・インスタレーションの鑑賞の様子を観察するのに適した機会であった。これまで同作品はフロントプロジェクションで展示していたが、今回リアプロジェクションで展示することにより、鑑賞者がアニメーションのすぐ正面の触れるような位置に立てるようになった。実際にプロジェクションされている映像を触りにくる来場者も多く、映像でありながら触覚を通したインタラクションが自然に起こる状況を観察することができた。映像と触覚との連動の必要性が明確になったことは、本年度予定していた研究計画(1)アニメーション・インスタレーションの要素分析の成果である。 また2017年9月には、メディアアート分野で世界最大の展示会であるアルスエレクトロニカ・フェスティバルにおいて、ユークリッド(佐藤雅彦、桐山孝司)として「指紋の池」を展示した。同フェスティバルも数万人の来場者があり、多数の鑑賞者がインスタレーションを体験した。この作品では、一度スキャンした指紋がディスプレイの中に入り、もう一度スキャンすると自分のところに戻ってくる。指紋が戻ってくるアニメーションを見ることで、鑑賞者が指紋に対して特別な感情を持つようになる様子が観察された。また同時に、指紋が帰ってくるときの動きのバリエーションを増やすことでより自分の指紋と感じられるアニメーションにすることが有用であるとの知見が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模なイベントでの展示を2回にわたり行なったことで、多くの鑑賞者を観察することができた。そのため本年度の計画(1)アニメーション・インスタレーションの要素分析、を大きく進めることができた。本年度の計画(2)制作支援環境の構築、についてはまだ着手したばかりであり、今後の継続的な研究が必要であるが、具体的な作業は見えており、概ね順調な進行状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き、アニメーション・インスタレーションに有用な要素をさらに分析するとともに、それを展示に反映して実際の場で観察することを行なっていく。さらに状態遷移を容易に組み込めるようなプログラミング環境や、映像とセンサーの融合など、アニメーション・インスタレーションの実現環境や技術課題を整備していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも物品費を節約できたため次年度の物品費として繰り越す。
|