研究課題
基盤研究(C)
本研究は、浪花節の展開を 「女流」 の観点から把捉しようとする試みであった。言説分析と音盤の分析から、これまでほとんど言及されてこなかった過去の女性演者たち(一群の「浪花節芸者」を含む)の存在と彼女達の様式を、浪曲史の中で位置づけるとともに、女性演者が男性に対するのとは異なる評価基準に基づく視線にさらされ、それらを受けとめながら、どのように自らの活動を行ってきたかの一端を明らかにすることができた。
音楽社会学
本研究の意義は、一点目に、芸能研究においてこれまで手付かずであった「浪花節における女性」という問題領域を開拓した点、二点目に、ジェンダー研究において、日本の明治期から大正期の浪花節という限定的な分野で女性がどのように活動したのかの一端を明らかにした点にある。