研究課題/領域番号 |
17K02361
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山本 和史 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (40294392)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生木加工 / 教育効果 / 収縮変形 / 3DCAD計測 / 3Dスキャン / 里山クラフト / 和ロクロとターニング |
研究実績の概要 |
事前計画ではⅢ期に分けて記述したが、実績報告では内容項目で述べる。 ■環境整備と教育:昨年作成した削りウマに改良を加えながら学部工芸授業で生雑木による匙、調理ヘラ等の制作演習を行った。用具、環境、教材としての要素、教育効果を考察中。また木工旋盤(2台追加)と用具の充実により専門授業へ導入が可能となった。指導資料と実践での評価蓄積を行っている。対象者を拡大してターニング指導の実践資料を蓄積中。 ■生木造形加工のデータ収集について:雑木原木を得つつ、試験体をロクロ加工して加工性と収縮変形のデーター化を進めた。3DスキャンMatter&Form(2017年購入)を用い、試験形態の模索とスキャン・計測を進めたが、完全な形状を記録することができず苦慮。業者とテストを重ねスキャナーの性能を検証、10月EinScan購入に至るまでに半年を要した。以降、試験体=可能な限り1樹種についてφ120mm半球状×厚み(6/9/12mm)×(EndGrain/内向SideGrain/外向SideGrain)=を再度作成しつつ。作成でき次第、生質量と3D計測→2-3週間の気乾後再計測。現在までに15樹種についてobj3Dデータ×125個を作成。順次3D-CADでXY切断面を形成し、生/気乾の比較計測を進めている。以降、繊維方向(L/R/T)によって収縮を数値化と、3D-CADによる画像表現を模索中。 ■第2里山クラフト研究会(11/24):真庭市郷原漆器の里において郷原漆器の特徴と製法、和ロクロと西洋式ターニングの比較検証を行う研究会を実施(19名)。:高月国光氏とデービッド・ディロング氏より実演を交えて解説、参加者と活発質疑応答。切削刃物の形状は異なるが、刃先作用は似ていることが分かった。しかし和ロクロでは回転トルクを任意に調節できる機構があり、木工旋盤への調節機構の付加を模索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
■昨年度購入の3DスキャナMatter&Formは、試験体に対するスキャン能力の不足が次第に明らかとなり、同時に複数データを統合するソフト能力にも不具合が多かった。検体を生木状態のまま保管することはできないため、データが無いまま(質量以外)乾燥させざるを得なかった。よって本年度導入のEinScan以前では、収縮変形について「参考」とせざるを得ない樹種が幾つかある。可能な限り検体を再作成し計測を行うが、スキャン後のCAD計測と比較検証が年度内に終わらない可能性がある。 ■段階的にターニング技術を積んだ学生スタッフが欠けたため、教育実践を次段階へ進められていない。同時に試験体を作成できる者が筆者のみとなった。 ■また、校務分掌的な業務に追われ研究時間を確保できていないという大学教員としての実情も大きい。
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今後の研究の推進方策 |
■第Ⅶ期(4-7月)①乾燥収縮のデータ化:昨年度末補充した丸太から試験体を作成し3Dデータを蓄積。既得データの計測、比較検証、視覚化の模索を並行する。②煮沸(テンパリング)効果の検証:また複数の樹種でタンパリングが乾燥速度と収縮変形に関してどのような効果があるのか検証。③工芸授業においてGreenWoodWorkの教育効果を実践研究。④外部W.S.:「樹を削る15人1脚の椅子」「匙フェス2019」(岐阜)へ参加しGreenWoodWorkの指導的知見を深めると共に社会的影響を考察。 ■第Ⅷ期(8-11月)①里山クラフト研究会:参加作家による作品企画と成果発表会のあり方を検討。②既得データの比較検証と視覚化を進め、雑木利用パンフレットの構成素案をつくる。③公開(社会人)講座:ターニング指導方法を再考し資料と設備の充実を計る。 ■第Ⅸ期(12-3月)①雑木利用パンフレット:雑木、樹と特性/GreenWoodWork諸相/ターニング/等、原稿作成。②里山クラフト研究会成果発表会:3月末開催
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に追加で購入の3Dスキャナを概算50万円と見込み前倒しを請求。成果まとめに支出を見込み、前倒し請求時から最終年度への繰り越し金を想定していた。
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