日本におけるホスピタルアートの現状とコードに関する研究

2018 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 17K02363
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 一鍬田 徹 広島大学, 教育学研究科, 教授 (10263659)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: ホスピタルアート / パブリックアート / 彫刻

研究実績の概要

本研究は、日本におけるホスピタルアートの現状を調査、整理すると共に、それらを通してホスピタルアートに求められる作品としてのコードを提示することを目的とした、3年計画の研究である。
1年目の平成29年度は、先行研究の整理と予備調査を目的としていたが、その後の調査の結果、ホスピタルアートに関わる様々な取り組みの中でも、特にアート作品およびその作者の思考を対象として、焦点化することとした。
2年目の平成30年度は、引き続き、国立国会図書館等で文献調査を行うと共に、論点の整理を進めながら、研究対象としていた大学病院や各医療機関等の実地調査を行なった。特に2018年12月には、日本の中で特に先進的で著名な四国こどもとおとなの医療センターを訪れ、病院の設立から関わっているアートディレクターへのインタヴュー調査を行うと共に、センター内に設置された様々なアート作品を視察した。またこの病院にも作品が設置されていた国際的なアーティストの展覧会（2019年1月～4月＠国立新美術館）が開催され、本人の対談も企画されていたので、聴講し、新たな知見を得ることができた。その他、九州大学病院内に設置されている作品『神の手』をはじめとした彫刻、立体造形、壁画等の実見や、パブリックアートの観点から実際の制作者の講演会に参加するなどして、様々な見地から情報収集と考察を進めた。
現在は、以上の調査結果や文献によるデータをもとに、作品のコードに関わる分類表の作成を進めている。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

国会図書館等で文献調査を進めるうちに、予想以上の数の研究論文や実践報告書等が多く見つかり、一定の尺度を設けて、分類表にまとめることに多くの時間を要している。ある程度の段階で、並行しながら実地調査を行なっていく予定ではあったが、実際には平成30年度４月当初予定していた医療機関等の視察に、十分時間を割けているとは言い難い状況にある。

今後の研究の推進方策

現在行なっている分類表を早急にまとめると共に、今後、更に効率的な視察ができるように、医療機関などの調査候補地を見直し、様々なタイプのアート作品に関するデータ収集に努めていく。

次年度使用額が生じた理由

平成30年度は、29年度に行えなかった現地調査を中心に行う予定であったが、文献調査とその整理に時間を要し、当初予定していた実地調査機関を十分に視察する機会を持つことができなかったため、特に旅費を中心に次年度使用額が生じた。
今年度は、調査候補地及び調査方法を見直すと共に、人件費・謝金及び旅費を効率的に使い、関係機関の実地調査を精力的に進めていく予定である。