研究課題/領域番号 |
17K02363
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
一鍬田 徹 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (10263659)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ホスピタルアート |
研究実績の概要 |
本研究は,日本におけるホスピタルアートの現状を調査,整理すると共に,それらを通してホスピタルアートに求められる作品としてのコードを提示することを目的とした3年計画の研究であった。1年目は,先行研究の整理と予備調査,2年目は論点の整理と大学病院や医療機関への実地調査,3年目はその調査結果に基づく論文発表や研究者との情報・意見交換等を計画していた。しかし,2020年2月以降,新型コロナウイルス感染症の拡大により,予定していた医療機関等への訪問調査が十分に行えない状況が続き,計画の見直しを迫られた。 このため令和2年度の補助期間延長申請を行い,状況が好転することを期待しつつ,訪問調査を行わない別の研究方法(論文作成,インターネットによる調査等)に切り替えた。論文については,大学美術教育学会誌「美術教育学研究」に向けて作成・投稿し,査読を経て,学術論文『病院における彫刻・立体造形作品の可能性と課題に関する研究』として,掲載に至った(2021年3月)。その後,令和3年度も補助事業期間延長申請が可能となり,承認されたので,引き続き,インターネットによる調査およびHPによる情報発信の準備を進めることとした。 以上を踏まえ,令和3年度の研究実績として,次の2点が挙げられる。1つは,これまでの論文作成やインターネットを含む調査を踏まえて,ホスピタルアートに関する情報をまとめたホームページを立ち上げ,情報発信を行ったことである。このホームページでは,ホスピタルアートに関する研究者自身の論文・作品や,実地調査の報告,関連資料,大学での学生授業作品に係る情報を掲載・発信し,今後も更新していく予定である。また2点目は,研究者自身が過去に制作したホスピタルアートを元に,別の試作品を制作・発表したことである。 なお,令和4年度についても,補助事業期間延長申請を行い,引き続き,研究継続していくこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初の,日本各地の医療機関への調査は十分に行えておらず,目的が達成できているとは言えない状況である。令和2年度の実施状況報告書の中で,「第4波を迎えている2021年5月現在,3度目の緊急事態宣言が発出された地域もあり,感染状況は厳しさを増していることで,実地調査を中心とした計画の見直しに迫られている。」と記載したが,2022年4月現在でも,感染者数は高止まりの状況が続き,第7波も懸念される事態となっており,予断を許さない状況に大きな変化はない。そのため,令和4年度においては,状況判断を的確に行い,少しでも医療機関における実地調査を実施すると共に,インターネットを活用した調査を続けて,情報の整理や発信を行いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後,可能な限り,実地調査の方策を検討しながら,同時にインターネットを活用した調査を行い,それらで得た情報を整理し,自身のホームページで情報発信をしていきたい。 また調査を行う医療機関に係る研究者との情報交換はある程度は進められており,訪問予定の医療機関も複数,計画しているので,然るべき時期に実地調査を行いたい。 そしてホスピタルアートとして作品に求められるコードに係る提言を可能な限りまとめ,ホームページや作品制作・発表を通して,社会に還元していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により,医療機関等への実地調査のための旅費及び調査データ整理のための人件費等を使用せず,移動を伴わないインターネット等を利用した調査及び情報発信を目的としたホームページ作成等を中心に行ったため,予定していた経費を使うことなく,次年度使用額が生じた。令和4年度については,更に1年間の補助事業期間延長の申請が認められたことから,これまでに計画していた医療機関等への調査研究費としての旅費・人件費・謝金等を含めて,研究継続及び情報発信のための経費として,適正に使用していきたい。
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