研究を始めた当初と比較して,日本におけるホスピタルアートは確実に増加している。それは,世界に先駆けて超高齢化社会を迎え,多くの人が医療機関において人生の終末期を迎える現代日本において,病院におけるアートのあり方や,アートが社会に果たす役割への期待が,これまで以上に高まっていることの表れであると考えられる。このような背景を踏まえ,多くの研究者も様々な視点からホスピタルアートに関わる研究・発表を行うようになったが,特に本研究では,研究者自身がアーティスト(彫刻家)として,理論と実践を往還しながら,立体・彫刻的な視点をもって,ホスピタルアートに対する考察,提言,情報公開等を行ったことに独自性がある。
|