研究課題/領域番号 |
17K02364
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
小原 浄二 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (80274348)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 演奏様式 / 合唱 / 表現 / 言葉のニュアンス / ドイツ語理解 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、バッハのカンタータ8番(BWV8)、カンタータ39番(BWV39)、ミサ曲イ長調(BWV234)を題材として、昨年度に引き続き「時代に即した演奏様式と現代的な生命感の融合」をテーマに研究を継続させた。 合唱は、前年度のメンバーを母体としたうえで、新たな参加メンバーを募り活動を4月より再開させる予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により対面での活動は6月にずれ込むこととなった。対面での活動休止期間中はリモートによるドイツ語の発音及び表現についてのレクチャーを、岡﨑グンヒルト氏の協力のもとで行った。このことは、本研究のねらいとして位置付けている「歌詞の解釈および一語一語のニュアンスを特徴づけるための色彩を重要視し、それを実現するための発声メカニズムを理解すること」、「ドイツ語を中心とした言葉の理解と色彩を出すために必要な知識の習得」という点において参加者の意識レベルのみならず、言葉のニュアンスを伴ったドイツ語の発音の向上につながることとなった。 今年度は新型コロナウイルス感染拡大により、合唱活動を行う上でその対策にも力を注ぐこととなった。文科省が推奨する全日本合唱連盟による「合唱活動における 新型コロナウイルス感染症拡大防止のガイドライン」を参考に対策を徹底させた。当初の予定よりも研究会の回数は大幅に減ることとなったが、器楽奏者(ピリオド楽器)及びソリストを共演として高知において演奏会形式の成果発表を行った。共演者とは演奏に際し音楽の方向性について合唱メンバーとともに打ち合わせを行い、その中で演奏スタイル等についての意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この4年間において、バッハ演奏の受容についての再検証、ピリオド楽器を用いた現代の古楽スタイルの追求、現代の古楽演奏での歌唱表現の研究などをテーマに、各年度の合唱のメンバーとともに実践的な研究活動を行ってきた。それはバッハの声楽曲の特徴や歴史的背景の理解とともに表現力の向上に着実につながっていると思われるが、それを検証するために当初より計画をしている広範囲の聴衆を対象とした東京やドイツでの成果発表は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で未だ実践できていない。当初の研究期間を1年延長したが、現時点での本研究の進捗状況は80%程度と感じており、更に1年研究を継続することとした。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実績を踏まえた上で、当初の計画案の総括を行う。広い範囲の層を対象に活動の成果を発表し意見聴取を行うことで本研究の検証を行う。題材は令和元年度に成果発表を中止した、カンタータ182番とミサ曲ヘ長調を取り上げる。前者はヴァイマル時代に作曲された棕櫚の主日のためのカンタータであり、後者はライプツィヒ時代にバッハが初めて取り組み始めたジャンルであるルター派ミサ曲(小ミサ曲)である。言葉も目的も異なる二つの作品を比較しながら参加者及び共演者と音楽的協議を重ね、3月に東京での成果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大によって当初の計画を縮小し活動を行ったため、次年度使用額が生ずることとなった。次年度の使用にあたっては成果発表に関わる費用を予定している。
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