研究課題/領域番号 |
17K02368
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研究機関 | 情報科学芸術大学院大学 |
研究代表者 |
松井 茂 情報科学芸術大学院大学, メディア表現研究科, 准教授 (80537077)
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研究分担者 |
中西 博之 独立行政法人国立美術館国立国際美術館, その他部局等, 研究員(移行) (20231722)
伊村 靖子 情報科学芸術大学院大学, メディア表現研究科, 講師 (60647931)
原 久子 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 教授 (80411479)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マス・メディア / 現代芸術 / メディア・パフォーマンス |
研究実績の概要 |
本研究は、第2次世界大戦後の日本の現代芸術の動向を、マス・メディア(放送文化と出版文化)を分母とした文化現象として再配置することを目的としている。 最終年度の研究活動として、坂本龍一インタビューは、1984、85年に着目し、芸術表現の分野で、作家自身が、パフォーマンスという言葉を意識し、音楽、出版、ヴィデオ、自主レーベル、メディア・イベントをもって芸術表現の「脱構築」を意識し、実践したことを取材し、貴重な資料となった。
これまでの研究をベースに、論文として「繰り返し語り、騙られる《コンピューター・エイディド・シティ》をめぐって 一九六八年のテレヴィジョンと幻視者」(『現代思想』2020年3月臨時増刊号「磯崎新」)を発表した。本論は、1968年を契機に、磯崎が「ヴィジョナリー」という立場を、方法的に選択することで、アンビルドと呼ばれる領域横断的な議論の機会を、制作手法に取り込んでいくプロセスを、実現を問わない計画を、総合誌や専門誌に発表し、様々な議論を起こすことで、芸術における想像力を建築に取り込んだことを指摘した。同誌に、椹木野衣のインタビュー「幻視者としての建築者――3・11以後の列島の〈水位〉」、篠山紀信のインタビュー「磯崎さんは事件を起こしたかったのかもしれないね、僕に写真撮らせて(笑)」を行い、1980年代から90年代前半にかけての芸術状況を現在の観点からとりまとめた。 また同誌の編集協力として、1985年の磯崎新と浅田彰の最初の対談「アイロニーの終焉」を再録し、この議論を2020年に再読することから、ポスト・モダニズムの再論を目論んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2019年度を最終年度として研究計画を遂行し、ほぼ予定通りの研究と発表を実施することができた。研究分担者の研究が一部、新型コロナによって実施できたなかったことを、2020年度に残すことになったが、これは本研究のさらなる展開として、当初の計画以上の部分となると考えられるから。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者の研究を実施すると共に、研究計画本体のより充実をはかる意味で、これまでのとりまとめに注力することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、研究分担者が在籍する大阪電気通信大学では3月の研究出張禁止が学長から命じられた。3月に予定していた海外出張が不能となった。研究遂行上出張が必要であり、2021年3月まで延期する必要が生じた。年度内にこれを実行する予定。
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