研究課題/領域番号 |
17K02369
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
大西 秀紀 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 研究員 (60469111)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ツバメ印ニットーレコード / ラクダ印オリエントレコード / 白熊印ナショナルレコード / SPレコード / シェラック / 78rpm / ディスコグラフィ |
研究実績の概要 |
平成29年度は当該研究のテーマに挙げた3つのレーベルの内、大阪のツバメ印ニットーレコードの大正期に関するディスコグラフィ作成に着手した。 ニットーレコードは大正10年4月の第一回発売に始まり、昭和10年代まで存在した戦前の日本を代表するレーベルのひとつである。近年の研究領域では、ニットーを東京の日本蓄音器商会のニッポノホンと比較し、関西色の強いローカルレーベルであるとする向きがある。たしかに多くの義太夫レコードや、初代桂春團治、立花家花橘の上方落語、南地力松の端唄俗曲等にばかり目を向ければ、そういった見方も出来なくはない。しかし豊竹古靱太夫、吉住小三郎・稀音家浄観、清元延寿太夫、芳村伊十郎、芳村孝次郎、常磐津松尾太夫、観世左近といった当時の一流演奏家による、それぞれのジャンルの主要曲の全曲あるいはそれに近い録音が多数あり、加えて当時の来日演奏家のクラシック音楽、外国人講師による英語教材を初めとする教育レコードなども積極的に制作している。これはニッポノホンに引けを取るどころか、それを上回る内容のものも多くあったといえる。そしてこれらの多くが大正期に集中して制作されているところから、ニットーレコードを正しく評価するためには、この時期の充実したディスコグラフィの作成が必須である。 ディスコグラフィ作成の手法は、大阪朝日新聞、大阪毎日新聞掲載の新譜広告、同社の月報である『ニットータイムス』等から新譜情報を抽出し、それらをExcelに入力するものである。当該年度は、大正期に発売された約2000枚についてのデータ入力を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標としては、録音方式がアコースティックからマイクロホン録音に切り替わる昭和3年頃を考えていたが、果たせなかった。ただデーターはほぼ集まっていて、入力作業は現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度と同様の方法で推進し、ニットーレコードと並行して白熊印ナショナルレコード、日蓄オリエントレコードについてもデータ入力を進める。また各社月報等のレコード資料の収集も継続して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、国立国会図書館等への出張調査の回数が予定より少なかった。次年度は出張調査を増やし、残額をより多くの資料閲覧のために充てたい。
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