研究課題/領域番号 |
17K02371
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
吉田 隆之 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 准教授 (00771859)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 芸術祭 / ソーシャルキャピタル / アウトプット評価 / アートプロジェクト |
研究実績の概要 |
平成29年度は、いちはら×アートミックス(千葉県市原市)、札幌国際芸術祭(札幌市)、奥能登国際芸術祭(石川県珠洲市)、あいちトリエンナーレ(名古屋市)などの現地調査を行った。主に芸術祭が地域コミュニティ形成に寄与するのかについて関係者にインタビューを行い定性的な分析を行った。分析の指標については、一時的な変化については人的協力・ネットワーク、継続的な変化についてはソーシャルキャピタルとした。 いちはら×アートミックスについては、調査対象とした三地区について芸術祭による人的協力・ネットワークの活性化が確認できたが、いずれもソーシャルキャピタルの形成までは至っていない。芸術祭が地域に根付くための地域側の受け入れ態勢の代表的パターンとして、三事例を拠点(地域づくり)連携・発展型、作品展示継続型、新たな拠点創造型に分類した。 札幌国際芸術祭については、札幌資料館の展開に焦点を当て短中期的評価の検証という観点からも分析を行う。常設の拠点「SIAFラボ」が作られたことで、「市民の主体性の向上」、「新産業の創出」につながる萌芽が見られ、その一方で、市全体のソーシャルキャピタル形成が道半ばであることを明らかとした。 あいちトリエンナーレについては、2010・2013により長者町ではソーシャルキャピタルがプロアクティブ化したが、2015年以降停滞する。それでも、対外的活動の面でアートと接点を持つまちづくりを継続し、参加の広がりの面でアーティストらの活動が定着する等、2016でもソーシャルキャピタルがプロアクティブ化していた。 住民等の変化に着目し、芸術祭の効果を客観的に明らかにすることで、芸術祭が地域活性化への過剰な期待を背負うのを引き留め、その方向性を見定めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、いちはら×アートミックス(千葉県市原市)、札幌国際芸術祭(札幌市)、奥能登国際芸術祭(石川県珠洲市)、あいちトリエンナーレ(名古屋市)などの現地調査を当初の予定通り行い、分析結果を学会等で発表し、本研究の視点や枠組みについて批判を仰ぎ、確認と修正を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟県十日町市等)、水と土の芸術祭(新潟市)、リボーンアート・フェスティバル(宮城県石巻市)などの現地調査を行う。 平成31年度は、「あいちトリエンナーレ」(愛知県)などの現地調査を行う。 こうした現地調査、分析を積み重ねたのち、その総括的な分析を行い、芸術祭の課題や社会的意義を検討したい。
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