研究課題/領域番号 |
17K02376
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
梅津 紀雄 工学院大学, 教育推進機構, 講師 (20323462)
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研究分担者 |
吉田 司雄 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 教授 (50296779)
半谷 史郎 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (90731406)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ソ連 / 冷戦 / 日本 / 日ソ / 音楽 / 芸術 / 交流 / 雪どけ |
研究実績の概要 |
平成29年度は既存の一次史料と二次文献の収集・整理に重点を置いて研究を進めた。年度のはじめに研究代表者の梅津、研究分担者の吉田、半谷で打ち合わせを行った他、半谷が上京した際に随時補足の検討会を行った。 具体的には、まず戦後の日ソ文化交流の出発点となった、ソ連のヴァイオリニストオイストラフの来日(1955、日ソ国交回復の前年)の背景と反響については、特に主催の『読売新聞』に詳細な報道があることを確認した。それらより、ソ連イメージの肯定的な側面の形成に大きな役割を果たしたことを想定することができた。 うたごえ運動の創設時のプロセスについては既存資料を消化して一定の認識を得たが、さらに『青年歌集』の分析について継続的に進めているほか、関係者への異端ヴューも検討中である。 占領期の状況については、山本武利『占領期メディア分析』(法政大学出版局、1996)や平野共余子『天皇と接吻 アメリカ占領下の日本映画検閲』(草思社、1998)、谷川建司『アメリカ映画と占領政策』(京都大学学術出版会、2002)などをはじめとした文献を検討した。 他方、聞き取り調査として、1957年の平和友好祭の日本代表でもあるバレエ界の大御所、薄井憲二氏に対するインタヴューを予定していたが、直前にご逝去されたため、これは果たせなかった。しかし、その準備の途上で、日本のバレエ導入の歴史においてロシア・ソ連の果たした役割について改めて認識し、文化交流史として読解できることを改めて理解することができた。 ロシアでの史料調査は、代表者の梅津と研究分担者の半谷が試行し、主としてゴスコンツェルト(ソ連国立コンサート組織)の文書を閲覧し、文書のスタイルや傾向について一定の認識を得た。本格的な調査をもう一度年度内に実施する予定であったが、日程の都合で果たせなかったため、平成30年度に調査を本格化させる所存である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度内にロシアでの史料調査の2回目が果たせなかったことが主たる要因である。
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今後の研究の推進方策 |
当課題は、関係する研究者が増えつつある領域であり、現在様々な連携の可能性を模索しているところである。連携の仕方によっては、研究計画の部分的な変更もありえると考えている。薄井憲二氏の事例に見られるように、聞き取り調査を急ぐ必要性があることも背景にある。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に資料調査による外国旅費、および出張先での物品費の支出を予定していたが、日程が調整できず、実施できなかったことによる。 平成30年度に出張を実施し、使用する予定である。
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