令和元年度には、京都における第25回国際博物館会議(ICOM)のため来日したICOMコスチューム部会(The International Committee for Museums and Collections of Costume)と協働し、9月9日、10日に国際セミナー”Transboundary Fashion Seminar 6.1: The Art of Wearing: Tradition and Innovation” を文化学園大学にて開催した。ファッションとテキスタイルの収集・展示の専門家をグローバルに集めた14名の部会メンバーとともに、装いのアートについて伝統と革新の両面から研究発表、着物着装ワークショップ、展覧会見学会をおこなった。
本研究では、個性を表現するメディアであり、芸術を産業に応用したクリエイティブ産業でもあるファッションが、グローバル化とデジタルメディア技術の進歩に伴い、国家や地域の境を越えて新たな文化的表現を生みだす状況を、海外のファッション研究者、学芸員、実践家たちと国際協働して、3年間で計6回の国際セミナーを開催して議論した。6つの観点(グローバル化とバティック、ファッションとアートの関係、ファッションデザイナーの実践と理論、ファッションのグローバル化、今なぜKimono展か?、装いのアート)をテーマとして研究発表とディスカッションをおこなった。研究成果は、西洋/東洋、支配/被支配、ファッション/コスチュームといった単純な二分法による視点を批判的に捉え、脱植民地主義を推し進めたファッションのグローバル化を再考する書籍として出版予定である(Bloomsbury、2021年)。
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