研究課題/領域番号 |
17K02385
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
樋口 良澄 関東学院大学, 国際文化学部, 客員教授 (30796157)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 現代演劇 / 前衛芸術 / 身体表象 / 肉体 / 1960年代 / 寺山修司 / 唐十郎 / 土方巽 |
研究実績の概要 |
1 1960年代に唐十郎が所属した実験劇場の団員を東京、大阪、長野、青森など全国に訪ね聞き取り調査を行った。その結果、リアリズム演劇から実験演劇が生成したプロセスを明らかにした。唐と、鈴木忠志、別役実、寺山修司らと比較し、1960年代演劇と当時全盛だったリアリズム演劇の関係を演劇史の中で検証した。その成果を明治大学図書館ギャラリーで「実験劇場と唐十郎 1958-1962」展として監修・展示し、資料集を作成した。オリジナル作品の台本、演出記録など貴重な資料を発掘することができた。 2 その過程でこれまで未知だった唐十郎が1961年に書いた初シナリオ「幽閉者は口開けたまま沈んでいる」、初小説「懶惰の灯篭」を発見し、「文藝」2018年冬号に掲載し、解説を書いた。 3 演劇資料をアーカイヴ化する作業を続け、アーカイブではワークショップ「唐十郎の演劇世界」(10月9日)、シンポジウム「実験劇場と唐十郎」(10月13日)に出席し、研究成果を語った。 4 土方巽調査では青森の鼬美術館、土方巽アーカイヴ(慶應大学)で調査、関係者の聞き取りを行った。慶應大学アートセンターのシンポジウム「ジェネティック・エンジン」(11月17日)で研究成果の一端を語った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初期60年代演劇の調査で、新原稿の発見や仮設舞台での公演等の新事実が明らかになり、60年代前後の演劇史を架橋する予想を超える成果があった。
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今後の研究の推進方策 |
1 「実験劇場と唐十郎展」の資料集を増補し、冊子化する。 2 60年代演劇の聞き取り調査をさらに進め、唐、寺山、土方三者の関係を検証し、論文化する 3 演劇資料のアーカイヴ化、デジタル化に関する研究を進め、他のアーカイヴと連動しながら現代演劇アーカイヴの設計準備を進める。この経過は論文化の予定である。 4 今年度予定の研究成果報告論文の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料集の印刷製本費用が、コピー製本にしたために費用がかからなかった。今年度に増補の上、印刷製本し、配布する予定である。
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