研究課題/領域番号 |
17K02402
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研究機関 | 昭和音楽大学短期大学部 |
研究代表者 |
小山 久美 昭和音楽大学短期大学部, その他部局等, 教授 (70525104)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | パーキンソン / ダンス / 高齢者 |
研究実績の概要 |
研究計画に沿って、パーキンソン病患者に対するダンスに関する論文等を収集したほか、「パーキンソン病患者のためのダンス」が提供するintroductory online learning programmeを受講した。パーキンソン病患者を教えるにあたって基本となる安全に関する知識と、クラスを提供する際に関連する方法論を考察する事ができた。 その後、「パーキンソン病患者のためのダンス」の代表機関であるニューヨークのMark Morris Dance Groupを訪問した。この団体がダンス指導者に向けて開催するワークショップに参加し、具体的な指導方法に関する多くの知見を得ることができた。また実際にパーキンソン病患者のために実施されているクラスにも複数回参加し、指導者、ボランティア、そして参加者たちの現場の様子を把握することができた。これらは、我が国における実施モデルを提言する際に、大変役立つと思われる。また、担当者とのインタビューでは、他国での実施状況、ユニークな取り組みなどに関する情報を得ることができた。さらに、世界パーキンソン病学会が平成31年に日本で開催されることがわかったため、本研究においてもその機会を活用し、研究内容の一層の充実を目指す。 これまで取り組んで来た障害者に向けたワークショップ実施方法に比べ、対象をパーキンソン病患者に限定していることにより、クラス受講者(パーキンソン病患者)に対する配慮や、想定される動きの制限等、多くの点でより具体的で明確な点が多いことが確認できた。とはいえ、実際のクラスでは、その他の高齢者も含め誰もが参加できる体制をとっていることから、一般の高齢者にも有益であることが想定される。今後は、計画通りに痴呆症の高齢者に向けたプログラム等にも調査対象範囲を拡げて、さらに分析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニューヨークでの調査内容は、2日間に渡るワークショップの他、現場のクラスにも複数回参加することができ非常に有意義であった。ワークショップでは、これまでの障害者に対するバレエ指導経験ならびに事前に考察した知識をふまえて、パーキンソン病患者のための具体的なレッスンモデルの一部を発表し、それに対する他国の指導者たちの意見を聞くことができた。また、現地担当者は「パーキンソン病患者のためのダンス」の創設当初からの主要な指導者の一人であった。今回、そのような専門的知識が非常に豊富な第一人者と、貴重な意見交換と協力関係を築くことができたことにより、今後の研究が一層充実することが見込まれるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、当初計画予定通り、イギリスを調査対象とし、パーキンソン病患者に対する活動に加えて、痴呆症等の高齢者に向けたプログラムの方法論と効果の分析を試みる。また、国内での実施状況の調査結果との検証を進める。パーキンソン病患者、痴呆症の高齢者それぞれを対象とした具体的なプログラムの理論化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)物品費を削減し、差額が生じたため。 (使用計画)次年度の研究計画に沿って、海外調査費用に充てる予定。
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