研究課題/領域番号 |
17K02408
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田村 隆 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70432896)
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研究分担者 |
折茂 克哉 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (30376579)
高山 みさと (丹羽みさと) 立教大学, 江戸川乱歩記念大衆文化研究センター, 助教 (90581439)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 狩野亨吉 / 駒場 / 第一高等学校 / 京都帝国大学 / 狩野文庫 / 書簡 / 日記 / ネットワーク |
研究実績の概要 |
1.駒場図書館所蔵の狩野亨吉文書についての調査を開始した。夏休み、冬休み、春休みの長期休業期間には学生アルバイトを募った上で、科研費メンバーと合同で文書の整理・封入作業を行った。従来、書簡類は数通まとめて和紙に挟んであるだけのものが多く、中性紙の封筒に一通ずつ整理して収めることで、閲覧利用の便も向上した。封入と併せ、主に研究協力者の川下俊文氏によってデータの入力作業も進められている。
2.平成29 年11 月12 日(日)11:00 から、「夏目漱石~その魅力と周辺の人々」展の見学および狩野亨吉研究の進捗報告会」をせんだいメディアテーク(宮城県仙台市)において開催した。科研のメンバーで夏目漱石展(漱石の交流のあった狩野亨吉に関する資料も展示された)を見学し、その後狩野亨吉研究の進捗について、メンバーがそれぞれ報告した。分担は以下の通りである。本年度の資料調査状況(丹羽・川下)、画像データベースの構築計画(田村)、一高歴史画展(駒場博物館)の紹介(折茂)。
3.平成30 年3 月21 日(水)13:00 ~ 17:00の日程で、「狩野亨吉研究会」を開催した(会場:東京大学駒場Ⅰキャンパス18 号館1 階メディアラボ2)。次第は以下の通りである。秋田テレビ制作「秋田人物伝狩野亨吉」(2017.9.30 放送)上映、【研究発表】文化資源としての個人文書―狩野亨吉文書について― 折茂克哉(東京大学)、司馬遼太郎と狩野亨吉 丹羽みさと(立教大学)、狩野亨吉と郷土秋田―秋田県護国神社忠魂碑撰文の経緯― 川下俊文(東京大学・院)、一高旧蔵書と狩野亨吉 田村隆(東京大学)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は狩野亨吉文書の整理・調査も概ね順調に進展した。文書の今後の閲覧利用の基盤となる封入・整理作業も大半は終了し、残りを来年度に実施する予定である。川下俊文氏の調査からは秋田の顕彰碑に関わる知見も得られ、上記の秋田テレビの番組で紹介された他、3月の研究会においても報告があった。
他機関との連携という点についても、上記の通り、二度の会を持つことができた。本研究課題の拠点である東京大学のほか、東北大学、九州大学、近畿大学の研究者にも参加いただき、有益な議論を交わすことができた。本来は一般公開のシンポジウムなど、大きな規模での開催がより望ましかったが、それは来年度以降に開催したい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は夏の集中整理作業によって、書簡の残り4000通についても整理・封入作業を終える予定である。その上で、書簡の概略をデータ入力する作業に本格的に移行したいと考えている。画像データベースの構築についても、著作権なども問題に十分配慮しながら進めてゆく。
狩野亨吉の事績は研究者間では知られているものの、広く一般に認識されているとは言えず、本研究の成果をわかりやすい形で発信していくことが求められている。今年度は東京において研究会を開催したが、来年度(平成30年度)においては可能であれば九州大学伊都キャンパスにおいて研究会もしくはシンポジウムを開催したいと考えている。最終年度となる平成31年度は、狩野亨吉の出身地である秋田大館で開催することを目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中に丹羽みさと氏を研究分担者に加え、所属機関の立教大学に分担金として直接経費50,000円(間接経費15,000円)を配分したため。
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備考 |
駒場図書館作成。 8頁に狩野亨吉文書についてのコラムを執筆(田村隆)。
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