江戸後期に刊行された大行寺信暁の板本は1.大行寺蔵板本、2.本山佛光寺蔵板本、3.大行寺と本山佛光寺の相合板、4.町板、5.施本の5つに大別できる。そして、その弘通は大行寺や佛光寺、京大坂の本屋が中心であったが、信暁の親族や副業として本屋を営んでいた人も関わっていた。また、信暁の著書の研究を通して、江戸後期の京の本屋が、京や地方の町板・寺板の勧化本を売買し、新たな勧化本を編纂していたことが明らかになった。信暁の著書は明治に入っても整版小本や活版四六判で京大坂の書店を通して販売された。その理由には信暁の著書が通佛教的な内容であったこと、そして時代背景として当時の説教の隆盛が指摘できる。
|