研究課題/領域番号 |
17K02413
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
日高 佳紀 奈良教育大学, 国語教育講座, 教授 (00335465)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日系移民 / カナダ / 日本語文学 / メディア / 第一次大戦 / 大陸日報 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染拡大状況で中止していたカナダ国内での資料調査、研究打ち合わせ、ワークショップ開催などの計画をもとの計画に戻すべく、2022年9月7日から20日の期間、カナダ現地に赴き、バンクーバー市内およびブリティッシュコロンビア州の関連施設において、日系カナダ人史関係施設の現状視察と資料調査、研究打ち合わせ等を行った。 主な調査・訪問先は、バンクーバー市立図書館(資料調査)、国立日系カナダ人博物館(現状視察、資料収集および古文書保存担当者との研究打ち合わせ)、ブリティッシュコロンビア大学図書館(資料調査)、サンシャインバレーの旧日系カナダ人収容所跡(現状視察)、メープルリッジ市立博物館(資料調査)などである。 『大陸日報』掲載記事からの文芸関連記事の抽出についても昨年度までは作業の遅れがあったが、本年度は、1930年以前までの記事の抽出を終え、おもに第一次大戦後の国際状況と関連づけたカナダ日系コミュニティの状況を把握するとともに、それらを映し出している一般記事に対して、文芸記事を読みあわせた分析を進めているところである。 また、カナダにおける日系コミュニティや国際情勢といった歴史的事象と文学表象(言語表象)との関連について、史実と虚構の物語とを有機的に接続して扱うために、フィクション理論にもとづいた考察を進めるべく、従来からおこなってきた文学理論の研究を本課題に引きつけながら検討するための準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ拡大状況のために遅れていた研究をもとに戻すべく努めたが、3年近い空白を埋めるところまでは不充分であった。さらに、この期間を経たことで、ワークショップの開催を予定していた現地協力者の加齢に伴う健康状態の不調といった不測の事態もあった。 それでも、『大陸日報』の閲覧と分析はある程度進み、成果発表に向けた端緒をつけることはできた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大状況が大幅に改善された現在、昨年度の調査準備作業をもとに、現地の協力機関や協力者との連携を復活させていきたい。 『大陸日報』の文芸記事抽出作業を進めるとともに、日系コミュニティの同時代状況と関連づけながら、文芸記事の分析を進め、成果論文等の制作をおこなっていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴って生じた研究計画の遅れがまだ完全に解消されておらず、次年度に予算を残すことになった。次年度は、カナダ現地での調査および研究打ち合わせなどをさらに進めるとともに、『大陸日報』のメディア分析を展開していく計画である。
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