研究課題/領域番号 |
17K02419
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
萩野 敦子 琉球大学, 教育学部, 教授 (90343376)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 狭衣物語 / 平敷屋朝敏 / 伊勢物語 / 竹取物語 / 近世琉球の擬古文物語 / 伝統的な言語文化 |
研究実績の概要 |
1、近世琉球の文学者である平敷屋朝敏が強い影響を受けた『狭衣物語』について、論考「狭衣と源氏宮―その形代となる宮の姫君まで」を武蔵野書院『狭衣物語の新世界』(後藤康文・倉田実・久下裕利編、2019年2月刊)に掲載した。この論考において、『狭衣物語』に登場する主要女性である源氏宮と宮の姫君について、2000年以降の研究史の動向をまとめ、現時点で彼女たちを論ずるうえでの鍵となる事柄を指摘した。 2、平敷屋朝敏の擬古文物語4編に『伊勢物語』『狭衣物語』等の中古散文文学が与えた影響を、主として「男主人公の孤独やニヒリズム」に焦点を当てて論じた口頭発表を、2019年3月23・24日に東京で開催された狭衣物語研究会において行った。なお、本発表は2019年度中に論文化し、『(仮題)狭衣物語 変容』という狭衣物語研究会編の論文集に投稿予定であり、その準備を進めている。この論考がまとまれば、ヤマトの古典文学から琉球文学への血脈の一端を、明らかにすることができる。 3、高等学校における伝統的な言語文化の教育について考える一つの視点として、国語教科書における『竹取物語』の教材のありようについて調査を進めている。『竹取物語』は高等学校においてどのように学ばれるべきかを考えるため、絵本「かぐやひめ」の内容に照らしたり、羽衣伝説をベースとする琉球の古典芸能・組踊の「銘苅子」を参照するなど、考察しているところであり、2019年度上半期中には論文化するつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は、2018年度から琉球大学教育学部選出の教育研究評議員(任期2年)を務めることとなった。評議員は全学の教育研究評議会のほか、幾つかの全学委員会の構成員となることが求められる。また同時に、教育学部内の運営の中枢にも関わるため、具体的には学部の教務委員長と入試委員長を務めることとなった。これら、全学および学部内の管理運営業務に多くの時間を割かれ、研究時間を捻出することに著しく苦労しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
全学および学部内の管理運営業務に多くの時間が割かれる現状であるため、現在具体的に分析・考察を進めている二つの研究を論文化することに焦点を絞るのが、研究課題を推進する近道であると考えている。具体的には、下記の二本の論文である。 1(仮題)「近世琉球に再生する『みやびを』たち―平敷屋朝敏の擬古文物語をめぐって―」 2(仮題)「愛なき『竹取物語』は国語科教材に相応しいか―教科書や各種絵本から取り落とされるもの―」
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は、2018年度から琉球大学教育学部選出の教育研究評議員(任期2年)を務めることとなった。評議員は全学の教育研究評議会のほか、幾つかの全学委員会の構成員となることが求められる。また同時に、教育学部内の運営の中枢にも関わるため、具体的には学部の教務委員長と入試委員長を務めることとなった。これら全学および学部内の管理運営業務に多くの時間を割かれて研究時間を捻出することに著しく苦労、助成金を使用することができなかった。
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