研究課題/領域番号 |
17K02419
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
萩野 敦子 琉球大学, 教育学部, 教授 (90343376)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 古文分野の教材 / 王朝物語定番教材 / 王朝物語定番外教材 / 琉球和文学 / 擬古文物語 |
研究実績の概要 |
今年度は、本研究により開発した教材を、主として高等学校国語科の古文分野の学習において、どの段階に組み込むかを考察するために、現在の高等学校国語科の科目「国語総合」(の古典分野)「古典A」「古典B」それぞれの教科書(順に平成31年度は24種類、11種類、20種類が発行されている)の教材をエクセルファイルにリスト化した。 ちなみに、申請者が教材化を目指すのは、琉球和文学の特に「擬古文物語」と呼ばれる作品群であり、現在の教科書教材に代替させるとすれば、王朝物語文学が対象になると考えられる。 そこで、王朝物語文学教材について見てみた結果、『竹取物語』『伊勢物語』『大和物語』『源氏物語』といった強固な定番教材を外すことはできないと思われるものの、教科書により個性がみられる定番外教材(『うつほ物語』『落窪物語』『夜の寝覚』『堤中納言物語』『とりかへばや』『松浦宮物語』『住吉物語』『しのびね』)には、琉球和文学を代替させる可能性があると思われた。 なお、これらの定番外教材については、それぞれに定番教材に対して批評的なスタンスを取っていたり、話型に支えられた伝奇性を有したりしており、定番教材ひいては文学史を相対化する視点を、学び手にもたらしうると考えられる。琉球和文学は、まさにその位置に置き換えるに相応しいことがわかる。 琉球和文学に直接触れる予定はないが、現在の高校国語教科書における王朝物語文学の定番外教材については、2020年度5月の中古文学会シンポジウム(学会は新型肝炎感染拡大防止のため中止になったが、オンラインにより実施予定)で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者は「琉球大学教育研究評議会評議員」(教育学部選出)の2年任期2年目を務めたほか、全学では「ジェンダー協働推進室 副室長」「グローバル教育支援機構会議 委員」「教員人事学長諮問委員会 委員」「教員懲戒委員会 委員」「アドミッション部門併任教員(調査研究ユニット長)」「大学院委員会 委員」「人文社会系新研究科検討委員会 委員」「利益相反マネジメント委員会 委員」「教職センター併任教員(教職教科検討委員会)」、教育学部では「教務委員長」「教育学部入学試験委員長」を務め、管理運営において多忙を極めた。学生教育・学生支援に係る業務を軽減することはできないため、おのずと研究に割く時間が奪われた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の調査において、琉球和文学の教材を代替しうる高等学校国語教科書教材が把握できたので、2020年度においては具体的な教材化を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に、本研究のヒントを得られる研究会への出席と、教科書図書館の調査とで、2回の東京出張を予定していた。しかし、いずれも新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止せざるをえず、二度の出張のために残しておいた研究費が使用できなかった。
新型コロナウイルス感染症の件に左右されなければ、昨年度予定していた教科書図書館の調査を行う。今年度より学部長職に就き、会館日が限られている(月火水のみ)同図書館で十分に調査を進めるには当初予定していた複数日1回の出張ではなく、1泊2日(実質1日)単位の出張を複数回行う必要が出てくることから、新たに請求した助成金を合わせて有効に活用したい。また、新学習指導要領に対応したカリキュラムに関連する書籍も多く出版されていることから、参考図書の購入にも活用する。
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