研究課題/領域番号 |
17K02419
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
萩野 敦子 琉球大学, 教育学部, 教授 (90343376)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 平敷屋朝敏 / 琉球擬古文物語 / 言語文化 |
研究実績の概要 |
当該年度は、2022(令和4)年度以降に新学習指導要領の実施が始まる高等学校の国語科教育において、琉球和文学がどのように教材化できるかを探るため、専ら新学習指導要領により新たに高等学校第1学年の必履修科目となる「言語文化」の内容について理解を深めることに努めた。 「言語文化」は、9社から17種類の教科書が発行される予定であるが、各社のホームページの情報や6月に実施された教科書展示会を利用して、以前の「国語総合」古典編との違いを把握することに努めた。 新学習指導要領の総説によれば「言語文化」は「上代から近現代に受け継がれてきた我が国の言語文化への理解を深めることに主眼を置」くための科目とされているが、当該科目に限らず新学習指導要領がめざすのは、〔知識及び技能〕偏重の学びから〔思考力、判断力、表現力等〕の育成を介した〔学びに向かう力、人間性〕を伸長させる学びへの変換である。各教科書も「言語活動」を単元や教材のゴールに据えることで、その目的に向かうための工夫をしていることが理解できた。 本研究ではこれまで、日本の古典文学(いわゆる王朝文学)に影響を受けた琉球文学について探究してきたが、それを今後の高等学校教育における学びに嵌め込んでいくうえでは、〔思考力、判断力、表現力等〕を育成するための比較読みの手法や、〔学びに向かう力〕を引き出す地域性への着目を、「教材」に落とし込むことが重要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年4月に着任した琉球大学教育学部長の任期2年目であった。国立大学法人の第3期中期目標・中期計画の最終年度であったうえに、コロナ禍や人件費削減等を含む学内外の厳しい状況のなかで学部運営に追われたため、研究は進んだとは言いがたい。
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今後の研究の推進方策 |
琉球大学教育学部長に再任されたため、引き続き研究時間の確保が困難である。研究内容としては、すでに入力作業を終えてテキストデータになっている『沖縄集二編』全1439首の歌語索引の作成と、平敷屋朝敏の擬古文物語を新学習指導要領に即した教材にしていくことを考えており、いかに時間を作り出すかが問題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で出張ができず、全く旅費が使えなかったこと。 学部長業務が多忙で研究が進まず、文献や消耗品の購入も限られたこと。 次年度は出張や研究に有益な学術書の購入等に宛てて、本研究に活かしたい。
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