学習指導要領の改訂を受けて、高等学校国語科では昨年度の入学生から年次進行で、新たな科目編成による履修が始まっている。本研究の目指すところのひとつは、特に沖縄県の若い学習者たちに琉球和文学の魅力をわかりやすく提示することにあるので、今年度は高等学校国語科で古典を扱う新科目『言語文化』『古典探究』の各教科書の教材編成を確認し、それぞれの科目のどこに琉球和文学教材を落とし込めるかについて考察してきた。 『言語文化』については9出版社から17種類、『古典探究』についてはやはり9出版社から14種類の検定教科書が発刊されているが、それらの古文分野の内容を見ると、旧指導要領時代の『国語総合』および『古典B』の古文分野の内容とは、採録される教材そのものに大きな違いはなかった。しかしながら、新科目においては教材=古文テキストを読むだけでなく、関連する他のテキストやさまざまなメディア、文化ツールと横断的に学ばせるような、いわゆる「言語活動」が積極的に展開されている。 比較文学的な視点において補助教材として導入することにより、違和感なく高校国語科の授業に位置付けることができ、今次学習指導要領のキーワードである「深い学び」を実現できるものと考える。 具体的かつ実現性の高いものとして、『言語文化』と『古典探究』の双方において定番的に採録されている『伊勢物語』の補助教材として、平敷屋朝敏の擬古文物語が導入できる。
|