研究課題/領域番号 |
17K02423
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
白井 伊津子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (40323224)
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研究分担者 |
平舘 英子 (平舘英子) 日本女子大学, 文学部, 名誉教授 (00099269)
西 一夫 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20422701)
藤井 雅子 日本女子大学, 文学部, 准教授 (20440084)
谷口 孝介 筑波大学, 人文社会系, 教授 (40272124)
岩田 芳子 日本女子大学, 文学部, 助教 (90732967)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 空海 / 性霊集 / 性霊集便蒙 |
研究実績の概要 |
わが国における中国文学受容の実態は、詩文と詩文との関係だけでなく、詩文と歌との関係というジャンルを超えた広がりを有する。なおかつそうした関係は共時的な面に留まらず、上代から平安朝へという時間軸においても、通時的な継承とあらたな展開という面を示している。かかる複雑な様相を呈する、中国文学受容の総合的な把握のためには、いまだに課題の多い空海の詩文について、その緻密な検証を率先して行う必要がある。当該研究は、空海の『遍照発揮性霊集』(10 巻)の文献調査(書誌的研究)、出典考証、表現研究をもって、総合的把握のための基盤を確固たるものにしてゆくものである。 本年度は、第一に、『性霊集』の研究において最も重要な注釈書である『性霊集便蒙』の諸本間の異同ならびに出典考証に有益となる書き込みなどの確認のため、『性霊集便蒙』の運敞自筆本(智積院所蔵)をはじめとする諸本(大正大学所蔵、高野山大学所蔵)の調査を実施した。 第二に、出典考証として、『性霊集便蒙』に引用される出典の原典にあたって、本文の異同を確認しながら、「出典考証一覧」の作成を進展させた。その際、原典からの直接的な引用なのか、類書からの引用なのかについても、注意を向けていった。 第三に、比較研究として、『性霊集』韻文作品の韻律調査に着手した。また合同研究会において、性霊集の詩の表現分析を進めつつ、空海の作詩における平仄への配慮、対句の意識、寓喩的表現の意味を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者、分担者それぞれが、研究班ごとに研究を分掌し進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿って推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由としては、(1)購入予定の図書が入手困難であったこと、(2)調査が年度をまたがったこと、(3)公務のために予定していた研究会に参加できなかったこと、があげられる。(1)(2)については、次年度中に速やかに執行できる予定であり、(3)についても、次年度の分担範囲を調整することで執行可能である。
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