研究課題/領域番号 |
17K02431
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
米田 真理 朝日大学, 経営学部, 教授 (20398358)
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研究分担者 |
林 和利 名古屋女子大学, 文学部, 教授 (70173002)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 能楽 / 狂言 / 地域文化 / 文献調査 / 豊橋市 / 吉田藩 |
研究実績の概要 |
本研究は、明治初期から戦前まで住民によって盛んに能・狂言が演じられていた、愛知県豊橋市魚町の能楽に関する調査研究である。本研究は、豊橋市魚町という一地域で伝承されていた能楽のうち、台本を中心とした資料が多数残存している狂言について文献調査を行い、これをもとに、和泉流狂言台本の変遷や、地域に密着した能楽の実態についてなど、多方面にわたって調査研究を行うものである。 今年度の成果は、以下のとおりである。 1)魚町の能楽の拠点であった安海熊野神社に残存する狂言台本計約150点について、悉皆調査と複写(写真撮影)を行った。作業は10月22日と11月19日の2日間、所蔵先である豊橋市安海(やすみ)熊野神社にて行った。作業には本研究の研究代表者ほか共同研究者、研究協力者が関わり、2006年8月の下調査時の調書を確認する形で行った。今回の調査により、対象とする資料全点の写真撮影が完了した。 2)地域住人への聞き取り調査を行い、戦前までの演能や資料に記載される人名について、伝え聞いている内容を記録した。10月20日と11月19日の調査日に魚町能楽保存会の会員に同席していただき、往時の状況について伝え聞いている事項や、現在の資料保存や活動の状況について記録した。 また、撮影した資料写真について、今後の研究や地域での活用における便宜のためPDF化を計画しているが、その下準備として、写真全点のナンバリング作業を進めている。このほか、一部の資料について翻刻本文を作成して内容の比較を行い、それにもとづく資料の分類に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標であった「現地調査ならびにそのチェック作業」については、計画通りに達成することができた。 また、地域住人への聞き取り調査に関しても、当初予定していた方を対象に実施することができた。さらに、当地域の周辺をも含めた、近世~戦前における地域芸能としての能楽について、地元の方と共同で研究を進める土壌を作ることができた。 しかし、当初予定していた、資料写真のPDF化については、写真の下処理(ナンバリング)に手間取ったため、今年度は実行できていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、現地調査で得られた写真等の成果をもとに、台本成立の背景や、内容について精査する。 まず、魚町と交流があったとされる愛知県新城市の資料(番組、手紙類)と比較し、能楽の地域間交流についての具体的事例を示す。 さらに、和泉流山脇派台本の善本について、影印や翻刻本文を作成する。これらの作業は、東海能楽研究会例会のほか打ち合わせ会を月1回のペースで開催し、進めていく。 また、魚町能楽保存会はじめ地域の方との連携を強化し、豊橋とその周辺地域の能楽に関する研究史をまとめる作業を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定していた資料写真のPDF化について、その下準備としての写真全点のナンバリング作業に時間を要してしまい、年度内に発注ができなかったため。作業のペースから、次年度8月までに業者による見積もりと発注を行う見込みである。
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