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2017 年度 実施状況報告書

「近衞基凞詠草」に関する総合的基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02435
研究機関立命館大学

研究代表者

川崎 佐知子  立命館大学, 文学部, 准教授 (00536120)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード和歌文学 / 文献学
研究実績の概要

本研究は、「近衞基凞詠草」(公益財団法人陽明文庫所蔵)を主たる研究対象とする。研究目的は、つぎの三点である。第一に、「近衞基凞詠草」の書誌を調査し、整理を進め、研究資料として活用できるような環境を整えることである。第二に、「近衞基凞詠草」からうかがい知ることができる近衞基凞の和歌活動を、近世前期の堂上歌壇に正しく位置づけることである。第三に、近衞基凞の五摂家筆頭当主という特別な立場と、古典籍の保全と継承に纏わる書写活動にも留意し、近衞基凞、および近世前期の近衞家が、日本文化で果たした役割を明確化することである。
平成29年度は、「「近衞基凞詠草」に関する基礎的資料報告」を重点研究テーマとし、以下の三つの作業をおこなった。
1. 実見調査と情報収集;陽明文庫(京都市右京区)において、「近衞基凞基詠草」1,332 点の実見調査を実施した。調査内容は、原本の書誌と内容の確認、および資料判読であった。また、関連する資料を収集するため、東京大学史料編纂所(東京都文京区)において、『後水尾院御日次記』などの調査を実施した。このほか、最新の研究動向を探るため、中古文学会(平成29年10月、静岡大学)などの学会に参加した。
2. 資料内容の分析・検討;実見調査と情報収集の結果をふまえ、調査実施後、「近衞基凞詠草」の内容を検討した。あわせて、近衞基凞の和歌に関する事績を、『基凞公記』『无上法院殿御日記』などに基づき、整理した。
3. 研究成果の公表;1・2の作業を重ねて得られた成果の一部を、川崎佐知子「立命館大学図書館西園寺文庫蔵『新院御会部類集』の解題と翻刻」(『立命館文学』第654号、2017年10月、1-42頁、立命館大学人文学会)にまとめ、公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度の研究により、これまで未整理であった「近衞基凞詠草」の資料的な構成が、ある程度、明確になったといえる。あわせて、各詠草相互の関連性を判別することが、ほぼ可能となった。
本研究の考察対象資料は、1,332 点とかなり大部であり、一回の調査では十分な結果が得られない場合が多かった。よって、原本の所蔵者・関係諸機関の定める方法によって、複数回の調査(資料収集・資料判読)を実施するとともに、必要に応じて、原本の撮影などを、原本の所蔵者・関係諸機関に対して申請し、適切に対処した。
研究成果の一部を、川崎佐知子「立命館大学図書館西園寺文庫蔵『新院御会部類集』の解題と翻刻」(『立命館文学』第654号、2017年10月、1-42頁、立命館大学人文学会)にまとめることができた。

今後の研究の推進方策

平成29年度の研究成果を十分にふまえ、平成30年度は、ひきつづき「近衞基凞詠草」の整理分類作業を遂行する。あわせて、『基凞公記』、「近衞基凞詠草」と関係が深いと思われる『応円満院殿御詠歌』(公益財団法人陽明文庫蔵)などと照合し、和歌が詠まれた状況や和歌御会の実施状況、近衞基凞の詠作活動を明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、資料収集・資料判読に必要として作成を見込んでいた紙焼写真・マイクロ複写を、所蔵者の関係諸機関の定めるとおりの申請を経て、原本の撮影によって替えることができた。これが、次年度使用額が生じた主な理由である。
次年度は、本年度に引き続き、研究を遂行するために必要な学術図書などの物品・研究課題遂行のための機器類などを購入する予定である。また、関係諸機関での資料調査として、東京方面などへの出張を計画している。必要に応じて、紙焼写真・マイクロ複写などの複写物を作成する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 立命館大学図書館西園寺文庫蔵『新院御会部類集』の解題と翻刻2017

    • 著者名/発表者名
      川崎佐知子
    • 雑誌名

      立命館文学

      巻: 654 ページ: 1-42

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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