研究課題
基盤研究(C)
本研究は、公益財団法人陽明文庫が所蔵する「近衞基凞詠草」(目録上の合計点数1,332点)を研究対象とした。はじめに、「近衞基凞詠草」の書誌を調査し、整理を進め、研究資料として活用できるような環境を整えた。つぎに、「近衞基凞詠草」からうかがい知ることができる近衞基凞の和歌活動を、近世前期の堂上歌壇に位置づけた。さらに、近衞基凞とその背後にひかえる近世前期の近衞家が日本文化で果たした役割を考えた。
日本文学
本研究における研究成果の学術的意義の第一は、これまで未整理であった「近衞基凞詠草」が、近衞基凞自筆の詠草(歌稿)だけでなく、家集や歌集稿、書状などで構成される資料群であると判明したことである。第二は、「近衞基凞詠草」から近衞基凞の家集『応円満院殿御詠歌』を見いだしたことである。これにより、個々の詠草を詳細に分類するための明確な基準を確立できた。第三に、家集編纂の状況などから、近衞基凞が、薨後、和歌の亀鑑として崇拝されていたことがわかったことである。