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2018 年度 実施状況報告書

地誌から見た東北諸藩における領国認識の形成過程に関する新研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02442
研究機関秋田大学

研究代表者

志立 正知  秋田大学, 本部, 理事 (70248722)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード地誌 / 歴史認識 / 和歌と歌枕 / 東北諸藩
研究実績の概要

2018.8.2 科研16K02415(基盤研究(C))「江戸後期東北諸藩の学術における文理融合理念と文芸活動の関係を解明する新研究」と合同で研究会を開催。「東北諸藩の地誌に見る和歌・歌枕」と題した報告を行なった。地誌に引かれる和歌・歌枕などが地域・時代によって正統的な内容から大きく崩れていく時期があること、それが藩・藩主家の歴史認識や、中央に於ける歴史認識形成と関連していく可能性について指摘した。
たとえば、津軽藩で創られた地誌には、シャクシャインの乱以降、江戸を中心として作り出された義経伝説に関わる言説が顕著に見いだされる。地誌が単純に地域内の言説を集めて編纂されたのではなく、中央で作り出される歴史認識の影響を受けながら形成されていることは、従来ほとんど指摘されてこなかった。一方十七世紀中頃に編纂された『会津風土記』などに引用される典籍は、正統的なものが多い。こうした現象についての、指摘・分析・考察を行なった。
地誌の問題は、それぞれの編纂事情、時代、領主の歴史認識などとあわせて多面的・複合的に検討を加えることが、その研究の発展のために不可欠と考える。この問題については、次年度以降にその成果をまとめたい。
その一方で、こうした資料を用いた古典作品の注釈作業については、その危険性や記載内容検証の必要性についての一定程度の見通しを得ている。こちらについては、現在行なっている『源平盛衰記』の注釈などを通じて、その成果の発信に努める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

集めた資料の整理・分析と、それに基づく考察は計画通りに進んでいるが、未発掘の資料調査・収集については、あまり進めることが出来なかった。最大の原因は、現地調査を行なう時間が下降補できなかった点にある。これを補うために、古書店などを通じて資料の収集をおこなった。研究成果の発表についても、口頭発表は行なったが、論文というかたちにまとめるには至っていない。その一方で、地誌などを古典の注釈資料として活用するに際しての問題点などについては、一定の知見を得て、「『源平盛衰記』全釈」に反映している。よって「進捗状況」については「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

基本的には大きな方向性の変更は行なわない。しかしながら、調査対象施設、調査対象資料等についてはもう一度リストの見直しを行い、より効率的な資料調査・収集を行なうよう努めたい。また、実際に調査に行けない部分については、現在Web等で公開されている電子資料や、収蔵資料の複写などを最大限活用する方向で、収集に努める予定である。

次年度使用額が生じた理由

予定していた資料調査が実施出来なかったために、その旅費分を次年度へ繰り越すこととした。なお、本年予定している調査と合せてこれを実施する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 『源平盛衰記』全釈(一四―巻五―1)2019

    • 著者名/発表者名
      早川 厚一, 曽我 良成,近藤 泉,村井 宏栄,橋本 正俊,志立 正知,森田 貴之
    • 雑誌名

      名古屋学院大学論集 人文・自然科学篇

      巻: 55(2) ページ: 302 - 214

    • DOI

      info:doi/10.15012/00001146

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 東北諸藩の地誌に見る和歌・歌枕2018

    • 著者名/発表者名
      志立正知
    • 学会等名
      大名文化圏生成のダイナミズムを考える研究集会

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公開日: 2019-12-27  

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