研究課題/領域番号 |
17K02455
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本文学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中根 隆行 愛媛大学, 法文学部, 教授 (80403799)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 外地引揚者 / 植民者 / 朝鮮表象 / 森崎和江 / 村松武司 / 在朝鮮日本人 |
研究成果の概要 |
本研究では、朝鮮引揚者で戦後に文芸創作を始めた作家を対象に、朝鮮で暮らした記憶とその表象がどのように描かれるのかを検証した。村松武司は、みずからを引揚者ではなく植民者であるとして、祖父の評伝を書く。また、ハンセン病患者の文芸活動をサポートしながら、ハンセン病と朝鮮との関係性を問い続けた。森崎和江も自分は植民者であると公言し、炭鉱で働く女性との交流等を通じて、女性史のオーラル・ヒストリーをまとめあげる。朝鮮を故郷とは呼ぶことができず、自分とは何か、日本とは何かを問い続けた。本研究では、こうした在朝鮮日本人の戦後の文芸創作について、同時代の日本語文学や文学状況を参照しながら、その特徴を解明した。
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自由記述の分野 |
日本近代文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、朝鮮引揚者(「植民者」)による戦後の活動と文芸創作との関連性について、朝鮮表象という観点から詳細に明らかにした点にある。引揚者による朝鮮表象は、個々具体的な特徴をもつものの、敗戦後占領期、1950年代、60年代から70年代と、それぞれの時代の歴史性を加味した特徴も有している。また、社会的意義としては、引揚者が有する植民地での生活史や戦後における各分野での活動が、戦前あるいは戦後の歴史の再検討を促す点にある。以上の点については、外地引揚げ経験をもたない作家との比較による同時代性の考察を含め、戦後の文学史として系譜的に位置づけられると考える。
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