研究課題/領域番号 |
17K02466
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山下 聖美 日本大学, 芸術学部, 教授 (80349985)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 日本文学 / 林芙美子 / インドネシア / ロシア / 多文化共生 |
研究実績の概要 |
平成30年度の研究実績は以下の通りである。 1,文献の調査・発掘……29年度より引き続き、インドネシア国立図書館において1920年代から40年代に書かれた新聞の調査を行った。林芙美子についての記事を見つけることを目的としつつ、同時に、劣化が著しい貴重な新聞そのもののデータ化も行った。 2,テキストの電子データ化、作品のリスト化……「樺太の旅」のロシア語翻訳のデータ整理を行った。 3,現地調査……『三等旅行記』に描かれるロシアについて、知識の確認のためのインタビューを、ロシア科学アカデミーピョートル大帝記念人類学・民族学博物館、及びサンクトペテルブルク国立文化大学の研究者に行った。また、インドネシアのランブンマンクラ大学の研究者からは、林芙美子「ボルネオダイヤ」の時代のバンジャルマシンについての聞き取りを行った。 4,研究成果の発信……口頭発表として、「林芙美子と『ボルネオ新聞』」(平成30年度日本大学学部連携研究スタートアップ研究シンポジウム「20世紀前半における日本の『南進』メディアと日本人社会」2019年3月1日)「日本文学に影響を与えたロシアの作家~日本の女性作家・林芙美子とロシア~ 」(サンクトぺテルブルク国立文化大学公開講座 2018年11月3日)「林芙美子の文学における多文化共生の思想」(タイ国日本研究国際シンポジウム2014(主催:チュラロンコン大学)2018年8月25日)「林芙美子文学の魅力~大陸魂を持つ女~(世田谷文学館友の会公開講座 2018年5月22日)などを行った。また論文「日本軍政下インドネシアにおける林芙美子の文化工作~ジャカルタにおける足跡の紹介とともに~」(日本大学芸術学部紀要68号、2018年10月)「林芙美子が記述した1930年代の敷香」(サハリン科学アカデミー紀要3号 2018年)などを発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、各地の図書館で文献調査を進行しつつ、テキストデータ作成作業や、ロシアやインドネシアの研究者にインタビューを行うことができた。さらに、成果を論文にまとめる一方で、国内外のシンポジウムを企画したり参加することで口頭発表においても林芙美子についての研究成果を発信することができたため、研究の進捗状況はおおむね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、前年度まで研究成果を踏まえ、さらに研究を推進していきたい。具体的には、各図書館での文献調査や資料の整理を行いながら、とくに、研究テーマである多文化共生力をさらに深く探るべく、多民族国家・ロシアの多民族に関する様々な史料が保管されるロシア科学アカデミーピョートル大帝記念人類学・民族学博物館においての調査、インタビューを重点的にすすめていく。ロシアやインドネシアなどの外国体験により得た「多文化共生力」が林芙美子作品にどのようにあらわれているのかを追求していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも宿泊料金が安く収まったため、来年度の旅費へ繰り越しをしたい。
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